振り返りフレームワークとは、振り返るときに考える順番をあらかじめ決めておいた質問の型のことである。 どれが優れているかという比較ではなく、自分が振り返りのどこで詰まるかによって適した型が変わる、という性質のものだ。この記事では代表的な5種の型の中身と向き不向きを並べ、そのうえで「自分の詰まる場所から型を1つ選ぶ」手順を書く。紙とペンだけで実行できる内容にしてある。
型を調べるほど、席に着けなくなる
週1回の振り返りを始めようとして「振り返り フレームワーク」で検索する。KPT、YWT、PDCA、YWT、4行日記、いろいろ出てくる。それぞれの解説を読み比べているうちに30分が経ち、結局どれで書くか決まらないまま、その週の振り返りをしないまま日曜が終わる。こういう止まり方をしたことがある人もいる。
選べないのは、比較の軸が「型の良し悪し」になっているから
フレームワークの解説記事の多くは、その型が何のために作られたかを説明する。だが読者が知りたいのは「自分の場合はどれか」であり、その答えは型の側ではなく、自分がどこで手が止まるかの側にある。
振り返りが止まる場所は、だいたい3つに分かれる。 書く材料が出てこないところ(材料切れ)、書いたが意味を取り出せないところ(解釈切れ)、意味は分かったが次にやることが決まらないところ(行動切れ)である。型はそれぞれ、この3つのどこかを厚く扱うように作られている。だから「自分がどこで止まるか」を先に決めれば、選択肢は5つから1〜2つに減る。
5種の型の中身と、厚く扱う場所
1. KPT(Keep / Problem / Try)
続けること・問題・試すことの3欄に分けて書く。厚いのは行動切れの解消で、Tryの欄があるため次の一手が必ず1つ残る。仕事のチーム運営から広まった型で、個人でもそのまま使える。ただしProblem欄が広く、材料が「不満」に偏りやすい面がある。個人利用での組み方は別記事で扱う。
2. YWT(やったこと / わかったこと / つぎにやること)
事実→気づき→行動の順で3段に書く。厚いのは解釈切れの解消で、「わかったこと」という中間の段があるため、事実から行動へ飛ばずに一度立ち止まれる。日本語の語順に沿っていて、初めて型を使う場合はこれが一番書き出しやすい。
3. 4行日記(事実 / 発見 / 教訓 / 宣言)
1日または1週を4行で書く。厚いのは材料切れの解消で、行数の上限が先に決まっているため「全部書かなければ」という圧力が下がる。分量が少ないぶん、翌週に読み返しても文脈が思い出せないことがある。日付と場面を1語添えておくと後で読める。
4. Fun / Done / Learn
その週のことを「楽しかった・終わらせた・学んだ」の3つの円に振り分ける。厚いのは材料切れの解消で、反省の枠組みを使わないため、うまくいかなかった週でも書ける項目が残りやすい。一方で次の行動は出てこないので、行動切れの人には向かない。
5. 事実 / 解釈 / 一手(3行型)
自分で作る最小の型。今週の事実を1行、それをどう読んだかを1行、来週の一手を1行。3つの詰まりを薄く均等に扱う。型そのものを軽くしたい場合の受け皿で、他の型が重いと感じたときの避難先になる。
自分に合う型を決める手順(20分・1回だけ)
1. 直近3回の振り返りが、どこで止まったかを書く(10分)
直近3回(やっていない場合は、やろうとして止まった3回)について、「材料が出なかった」「書いたが何も取り出せなかった」「次にやることが決まらなかった」のどれに近かったかを1行ずつ書く。3回とも同じなら、その1つがあなたの詰まる場所である。バラけた場合は、直近の1回を優先する。
2. 詰まる場所から型を1つ選ぶ(3分)
- 材料切れ → 4行日記、または Fun / Done / Learn
- 解釈切れ → YWT
- 行動切れ → KPT
- どれとも言えない、または全部重い → 3行型
迷ったら3行型から始めるのが安全である。軽い型から重い型へ移るほうが、逆より続きやすい。
3. 2週間、型を変えずに固定する(設定)
決めた型を2回分(2週間)は変えない。1回では、型が合わないのか、その週に書くことがなかっただけなのかが区別できない。 2回やれば区別がつく。
4. 2回終わったところで乗り換え判定(5分)
2回終わったら、次の1問に答える。
2回とも、同じ場所で手が止まったか。
同じ場所で止まったなら、その詰まりに厚い別の型へ乗り換える。止まる場所が回ごとに違ったなら、型の問題ではなく分量や時間帯の問題である可能性が高い。その場合は型を変えず、週1回の振り返りのやり方。準備・質問・所要時間の完全ガイドの時間配分のほうを調整する。
実際にやると、ここでつまずく
筆者がまず失敗したのは、KPTを個人の週次に持ち込んだことだった。3回目でProblem欄が11行になり、Keepが1行、Tryが空欄という状態になった。チームなら他人が拾ってくれる項目が、1人だと全部自分に返ってくる。Problemを3件までに制限したら書けるようになったが、そこに気づくまでに2か月かかった。個人でKPTを使うなら、欄ごとの上限行数を先に決めるほうがよい。
もう1つのつまずきは、型を毎週変えてしまったことだ。合わない気がするたびに乗り換え、記録の形式が週ごとにバラバラになった。結果、3か月後に読み返しても比較ができなかった。手順3の「2週間固定」は、この失敗から入れている。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
正直に言うと、この選び方には2つの弱点がある。1つは、詰まる場所を自己申告で判定するため、実際には材料切れなのに「解釈切れ」だと思い込んでいる場合に、間違った型を選んでしまうこと。もう1つは、型が決まっても質問を毎回自分に投げる作業が残ることで、これは型を変えても軽くならない。
LifeOSは、AIとの対話で自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りでその言葉を更新していく日本語サービスである。振り返りの質問がこちらから返ってくる形式なので、型を選んで自分に問い直す工程を対話に置き換えられる。また、週次の回は前回までの内容を前提に進むため、形式が週ごとにばらつく問題は起きにくい。登録前に3分で試せる体験があり、カード情報は不要である。
そもそも型以前に振り返りの習慣が続かない段階にいる場合は、振り返りが続かないのは意志の問題ではない。形式から見直す全体ガイドを先に読むほうが順序として早い。
FAQ
振り返りフレームワークで一番おすすめなのはどれですか?
一番はない、というのがこの記事の立場である。KPTは次の行動が残りやすく、YWTは事実と気づきを分けやすく、4行日記とFun/Done/Learnは書く負荷が軽い。選ぶ基準は型の完成度ではなく、自分が3つの詰まり(材料切れ・解釈切れ・行動切れ)のどこで止まるかである。判断がつかない段階なら、事実・解釈・一手の3行型から始めて、2週間後に乗り換えを検討する形が扱いやすい。
フレームワークは途中で変えてもいいですか?
変えてよい。ただし2回(2週間)は同じ型で試してから判断するほうが、型の相性と、その週の出来事の量とを切り分けやすい。変えるときは、記録の冒頭に「この回から型を変えた」と1行残しておくと、後で読み返したときに形式のばらつきの理由が分かる。
複数のフレームワークを組み合わせてもいいですか?
組み合わせは可能だが、欄が増えるほど1回の所要時間が伸び、続けにくくなる傾向がある。組み合わせるなら、欄の総数を5つ以内に抑えるのが現実的な上限になりやすい。たとえばYWTの3段に、KPTのTryを1行だけ足す形なら4欄で収まる。最初から全部の欄を持つ型を組むより、足りないと感じた欄を1つずつ足すほうが破綻しにくい。
