年末に1年を棚卸しする。12か月を全部書かずに3つの時点だけ拾う

2026-10-02 | blog

目次

年末の棚卸しとは、1年の出来事を月ごとに思い出して並べる作業ではなく、1年の中から「その前後で生活の条件が変わった時点」を3つだけ選び、それぞれの前と後の違いを書く作業である。 選ぶ数を3つに固定するのが、この手順の中心である。

12か月を全部埋める形にすると、材料が多い月と何も出てこない月の差が出て、途中で止まりやすい。3つに絞れば、出すのは3組の「前・後」だけになる。この記事で扱うのは、材料を集めてから1文を書き終えるまでの90分である。必要なのは紙1枚とペン、手元にあればカレンダーか写真フォルダである。新年の目標を決める作業は含まない。

なぜ3つなのか

1年を振り返るとき、思い出せる出来事の数は人によって大きく違う。多い人は30件以上出てくるが、並べたあとに何を見ればよいか分からなくなる。少ない人は5件で止まり、「今年は何もなかった」という結論になりやすい。どちらも、選ぶ基準がないまま数を集めたことが原因である。

3つという個数を先に決めると、作業が「集める」から「選ぶ」に変わる。選ぶ基準は1つだけ置く。

その時点の前と後で、日々の過ごし方が変わったか。

この基準に合うものは、多くの場合1年に数個しかない。大きな出来事でなくてもよい。担当が替わった、通う場所が変わった、やめた習慣がある、会う相手が変わった。いずれも条件の変化である。逆に、印象が強くても前後で過ごし方が変わっていない出来事は、この手順では選ばない。

手順1: 材料を60件ではなく20分で出す(20分)

紙の裏面、または別の紙に、今年あったことを思い出した順に書く。1件1行、10文字程度でよい。カレンダーや写真を見て補うのはこの工程だけに限る。

20分で手が止まったらそこで打ち切る。件数は問わない。8件でも40件でも、次の工程は同じである。ここで完全な一覧を作ろうとすると、この工程だけで2時間かかることがある。棚卸しの目的は記録の完成ではなく、選ぶための候補を揃えることである。

思い出しにくい場合は、次の3か所だけ見る。

  • カレンダーの、予定が普段と違う週
  • 写真フォルダの、場所が普段と違う日
  • 支出の記録の、金額が普段と違う月

普段と違う点だけを見る。全件を見ると20分では終わらない。

手順2: 3つに絞る(15分)

書き出した候補に、前後で過ごし方が変わったものだけ印を付ける。印が3つより多ければ、変化が長く続いたほうを残す。1週間で元に戻ったものは外し、その後もずっと続いているものを残す。

印が3つに届かないこともある。2つでも1つでも手順は進める。数を満たすために、変わっていない出来事を足さない。足すと、次の工程で書く「前後の違い」が書けなくなる。

印が3つより多くて、どれも続いている場合は、時期が離れている3つを残す。同じ月に固まった3つを選ぶと、1年の中の1か所だけを拡大して見ることになる。

手順3: 3組の「前・後」を各2行で書く(30分)

紙の表面に、選んだ3つを時期の早い順に書く。1つにつき次の3行だけを書く。

時点: 6月 / 担当が替わった
前: 週の予定は前の週に自分で組んでいた
後: 週の予定は月曜の会議で決まる

「前」と「後」は、その時点をはさんで実際に変わった行動を書く。気持ちの変化ではなく、行動か条件を書く。「前向きになった」ではなく「朝に本を読む時間がなくなった」のように書けると、あとで読んだときに何が起きたか分かる。

1つに10分かけてよい。書けない組が出たら、その時点は選び直す。3行が書けない時点は、たいてい前後で過ごし方が変わっていない。

手順4: 3組を横に並べて、1文だけ書く(15分)

3組を並べて読み、次の形で1文書く。

今年は(何)が変わった年で、そのぶん(何)が減った/増えた。

「増えた」だけで終わらせず、減ったほうも1つ書く。1年のうちに何かが増えるとき、たいてい別の何かに使っていた時間が移っている。減ったほうを書くと、来年に向けて何かを足す前に、すでに動いた分が見える。

1文が書けたら終わりである。来年の目標や計画はここでは書かない。目標を同じ日に書くと、1文が目標に合わせて整えられやすい。計画を作るなら、日を分けて別の作業として行う。

手順5: 3つの数字を添えて保管する(10分)

紙の隅に次の3つを書き、来年まで残す。

  • 実施日
  • 選んだ3つの時点(時期だけ)
  • 書いた1文

来年の年末に同じ手順をやるとき、材料をゼロから集める必要がなくなる。去年の3つの時点を見て、「それはまだ続いているか」を見る工程を先に置けるようになる。

つまずきやすい点

3つが選べず、5つや6つ残る。 続いた期間で切る。それでも減らなければ、年の前半から1つ、後半から2つのように配置で決める。選ばなかった候補は消さずに紙の裏へ残しておく。来年に続いている場合、来年の候補として使える。

選んだ3つが全部仕事のことになる。 それでよい。生活の条件が実際に仕事で動いた年なら、そう出る。無理に生活・人間関係・健康の枠を作って埋めると、書けない枠が出て止まる。枠を決めずに、変わった時点だけで選ぶ。

いいことが思い出せない。 この手順では、良し悪しの判定をしない。前後で過ごし方が変わったかだけで選ぶ。良かった年・悪かった年という結論を出す作業ではないので、評価の欄は作らない。振り返って気持ちが沈む場合は、そこで中断してよい。続けて沈むときは、1人で扱わずに話せる相手や専門の相談先を検討する選択もある。

12月中旬に「まだ1年が終わっていない」と感じる。 残りの2週間で条件が変わることは少ないので、12月の前半に実施して構わない。年内に変化があれば、紙に1行足す。

月次・四半期の振り返りをしている場合

すでに月次や四半期の振り返りを続けている場合、年末はその記録を読み返す形にしたくなる。ただし12回分の月次を読み返す作業は、量が多いぶん時間が読めない。おすすめは、記録を読む前に記憶から3つ選ぶ順番である。記憶に残っている時点のほうが、前後の違いが書きやすい。選んでから記録を見て、日付と事実だけを補う。

週次・月次・四半期の役割分担は四半期の振り返りのやり方にまとめている。年末の棚卸しは、そのさらに上の段として年1回だけ置く形になる。

1年より長い範囲を見たい場合

3年分・10年分を対象にする場合は、この手順の個数固定だけでは足りない。年単位で並べる作業は人生の棚卸しのやり方にまとめており、半日でやる版と週10分ずつ進める版の2つを書いている。年末に1年分を3点で拾う習慣が2〜3年続くと、その3点の並びがそのまま長期の材料になる。

3年分ためた「1文」を並べて読むと、毎年同じ言葉が出ていることがある。その言葉を扱う作業は自分の価値観の見つけ方で扱っている。年末の棚卸しは、そこへ持っていく材料を1年に1つ作る工程として使える。

紙が3枚以上になったあと

この手順は紙1枚で完結するが、3年分をためたあたりで、前の年の紙を探して読み比べる手間が出てくる。書いた1文と3つの時点が同じ場所に並んで残り、前回との違いを見られる形にしたい場合は、その置き場を用意する方法がある。LifeOSは、対話で出てきた言葉を残し、週1回の振り返りで前回との違いを見られるようにしたサービスである。年1回の棚卸しの置き場としても使える。

LifeOSを見てみる

よくある質問

年末の棚卸しはいつやるのがよいですか

12月の前半から中旬が扱いやすい。年末最後の数日は予定が詰まりやすく、90分がまとまって取れないことがある。残りの期間に変化があれば、紙に1行足せばよい。1月に入ってから実施しても手順は同じで、その場合は対象期間を前年の1月から12月に固定する。

1年に何も変わらなかった場合はどうしますか

選べた個数が1つや0でも、手順としては成立する。その場合は「前後で変わらなかった」という結果を1文にする。ただし、外から見て大きな出来事がなくても、通う場所・会う相手・やめた習慣のいずれかは動いていることが多い。候補を出す20分では、行動の単位で見直すと出てくることがある。

書いた1年の棚卸しは、新年の目標設定に使えますか

材料としては使える。ただし同じ日に続けて目標を書くと、棚卸しの1文が目標に合わせて整えられやすい。日を分けて、棚卸しの紙を読んだうえで別の作業として目標を決める形をすすめる。棚卸しは数える作業、目標設定は決める作業で、必要な判断が違う。