AIに渡す記録の置き場所を決めるというのは、持っている記録を全部1か所へ統合することではない。渡す用のコピーを置く場所を、1か所だけ決めることである。 原本はカレンダーにもメモアプリにも紙の手帳にも残したままでよい。この記事では、集約先を3つの条件で機械的に1つへ絞り、週1回3分だけコピーを移す手順を書く。出力物は、見出しが3つだけ書かれたファイル(またはノート)が1つである。所要は初回20分と、週3分である。
AIに何を渡すかを決める話はChatGPTに前回の話を覚えさせる方法と、その限界にある。この記事が扱うのは、渡す中身ではなく、渡すものをどこに置くかという一点である。
相談する前に、3つのアプリを行き来して終わる
火曜の夜、AIに相談しようと思って画面を開く。今週の出来事を書こうとして、手が止まる。何曜日に何があったかを思い出せないので、カレンダーを開く。会議のメモは別のメモアプリにあるので、そちらへ移る。移動中に書いた一言は紙の手帳にある。
3か所を行き来して、コピーと貼り付けを繰り返す。集め終わる前に眠くなり、画面を閉じる。翌週も同じことをして、同じところで閉じる。相談の中身に入る前の、材料集めの段階で毎回終わっている。
集めきれた週もある。ただし貼り付けた内容は先週と半分以上重なっていて、AIからの返答も先週と似ている。手間をかけた割に、新しいものが出てこない。
問題は散らばっていることではなく、集約先が決まっていないこと
ここで「記録を1つのアプリにまとめよう」と考えることが多い。ただし統合は、たいてい2週間で崩れる。カレンダーは予定を入れる場所、メモアプリは長い文を書く場所、手帳は歩きながら書く場所というように、原本はそれぞれ別の理由でそこにあるからである。理由がある置き場所を1つへ寄せると、書く動作のほうが止まる。
必要なのは統合ではなく、渡す用のコピーを置く場所を1か所だけ決めることである。原本は動かさない。コピーだけを週1回、決めた場所へ移す。移す量を最初から3行に制限しておくと、集める作業が3分で終わる。
集約先を決めるときに「どれが高機能か」を比べると決まらない。比べる軸は機能ではなく、貼り付けるまでの操作数である。
手順(初回20分+週1回3分)
1. 直近2週間で、AIに渡した材料の出どころを書き出す(5分)
紙でもメモでもよいので、出どころを1行ずつ書く。アプリ名ではなく「どこから取ったか」を書く。
カレンダー(週の予定)
会議メモのアプリ
紙の手帳(移動中の一言)
チャットの自分あて投稿
渡そうとしてやめた材料も入れる。出どころが5つ以上になる人は珍しくない。
2. 各行に、コピーするまでの操作数を数字で書く(5分)
実際に1回やってみて、数える。アプリを開く、検索する、該当箇所を選ぶ、コピーする、で4である。
カレンダー(週の予定)……3
会議メモのアプリ……5
紙の手帳(移動中の一言)……手で打ち直すため数えられない
打ち直しが要る行は、数字ではなく「打ち直し」と書く。ここで数が大きい行が、毎週手を止めている場所である。
3. 集約先を、3つの条件で1つに絞る(5分)
候補の中から、次の3条件を全部満たすものを選ぶ。
条件1: スマホとパソコンの両方で開ける
条件2: 3語以内の検索で目的の場所にたどり着く
条件3: 貼り付けが2操作以内で終わる
複数残った場合は、すでに一番長く使っているものを選ぶ。ここで新しいアプリを入れないことが重要で、新規導入は手順5の週3分より先に、アプリを覚える時間を要求してくるからである。3つとも満たすものが1つもない場合は、条件3だけを満たすものを選ぶ。
4. 集約先に、見出し3つのファイルを1つ作る(3分)
中身は空でよい。見出しだけを書く。
今週の事実
引っかかったこと
前回の続き
この3つ以外は増やさない。増やすと、手順5で「どこに書くか」を考える時間が発生する。
5. 週1回3分、原本から3行だけ移す(週3分)
曜日と時刻を決めて、原本を順に見て、合計3行だけコピーする。3行を超えそうなときは、古いほうを捨てる。原本は消さない。捨てたのはコピーであって、記録そのものではない。
AIに渡すときは、このファイルだけを貼る。原本を開き直さない。
6. 2週間後に、集める時間が減ったかだけを見る(2分)
2回分やったところで、材料集めにかかった時間を思い出す。減っていれば続ける。減っていなければ、集約先ではなく手順1で拾う対象が多すぎる可能性が高いので、出どころのうち操作数が大きい1行を「今回は使わない」と決める。
実際にやると、ここでつまずく
3行に選べないことがある。1週間分を見ると、どれも書いておきたく見える。このときは選ぶ基準を足さず、上から順に3行取って残りを見ないほうが早い。基準を作ると、基準を考える時間が週3分を超える。
紙の手帳からの打ち直しも止まりやすい。全部を打ち直そうとすると3分では終わらないので、手帳からは1行だけと決めてしまう。写真を撮って貼る方法もあるが、貼った画像は後から検索できないので、条件2を満たさなくなる。
原本を消してしまう人もいる。移したのだから元は不要だと考えるためだが、コピー側は3行しか残っていないので、消すと後から遡れなくなる。この手順は原本を減らす手順ではない。
この手順の限界と、LifeOSがそこをどう扱うか
置き場所を決めても、書く材料がない週は集約先が空になる。空の週が続くと、ファイル自体を開かなくなる。また、集約先に3行だけ残す形なので、3か月前の傾向を見たいときには材料が足りない。そのときは原本へ戻ることになり、結局は遡る作業が発生する。
渡す場所を決める作業と、渡した結果を残す作業は別であるという点も、続けるうえで効いてくる。AIとの会話は流れていくので、会話の中で気づいたことは、自分で集約先へ書き戻さないと残らない。この書き戻しが、週3分の外側にある。
LifeOSは、週1回の振り返りをAIとの対話で進めるサービスで、答えた内容が同じ場所に積み上がる。渡す材料と、答えた結果が同じ場所に残るので、この記事でいう集約先と書き戻し先が分かれない。AIが返すのは断定ではなく仮説で、採るか採らないかは項目ごとに本人が決め、本人が確認したものだけが次回以降の前提として残る。 記録アプリを置き換えるサービスではないので、カレンダーやメモの代わりを探している場合には合わないが、渡す用の置き場所を増やしたくない人には向くことがある。登録なしで3分ほど試せる。
AIを振り返りに使うときの全体像はAIジャーナリングとはに、集約先へ何を書かないかを決める基準はAIに日記を書くときのプライバシーにまとめてある。
FAQ
記録アプリを1つにまとめたほうが、結局は早くないですか?
まとめられるなら、そのほうが早い。ただし、まとめる作業自体が数時間かかるうえ、移行後に書く動作が変わるため、2週間ほどで元のアプリへ戻ることが多い。この手順が扱うのはコピーの置き場所だけなので、20分で終わり、失敗しても原本は元のままである。統合したくなった場合も、先に集約先を2〜3か月使ってみると、どのアプリを残すかの判断材料が手元に出る。
集約先を、AIのチャット画面そのものにしてはいけませんか?
方法としてはある。ただし、条件2(3語以内の検索でたどり着く)を満たしにくい。会話が増えるほど、先週の分がどのスレッドにあるかを探す時間が伸びるためである。チャットを使う場合は、スレッドを毎週新しく作って題名に日付を入れると、探す時間が一定になりやすい。
集約先に書く内容が個人的で、置くこと自体に不安があります
その感覚は、置き場所ではなく中身の線引きの話である。何を書かないかを先に決めておくと、置き場所の不安は小さくなることが多い。固有名詞の扱いを1枚のルールにする手順はAIに日記を書くときのプライバシーにある。なお、この記事もLifeOSも、心身の状態を診断・治療・カウンセリングするものではない。書くこと自体がつらいと感じる状態が続く場合は、置き場所を直すより先に、話せる相手や医療機関・公的な相談窓口を頼るほうが適していることがある。
