バレットジャーナルとは、1冊のノートに予定・やること・記録を箇条書き(bullet)で並べ、行の先頭に置いた記号で種類を区別するノートの運用方法である。 専用のアプリも罫線も要らず、手元のノートとペン1本で始められる。
この記事で扱うのは、記号を3つに絞り、1日5行だけ書いて1週間回す書き方である。公式の記法をすべて覚える前に、最小の形で2週間動かすための手順を書く。
セットアップに2時間かけて、3日目の夜に開かなくなる
新しいノートを買った日の夜、解説記事を見ながらページを作る。1ページ目にインデックス、次に1年ぶんのフューチャーログ、その次に今月のマンスリー、そして今日のデイリー。線を引き、月の日付を縦に並べ、記号の凡例を書き写す。気づくと2時間たっている。
翌日は書けた。2日目も書けた。3日目、帰宅が遅くなってノートを開かない。4日目に開くと、デイリーのページに2日ぶんの空白がある。この空白を埋めるか飛ばすかで迷い、ノートを閉じる。そのまま机の上で1か月が過ぎる。
止まった場所をよく見ると、書く内容が思いつかなかったわけではない。行を1つ書くたびに「これはタスクか、予定か、メモか」「記号はどれか」を選ぶ判断が入っていたことが分かる。
続かないのは意志ではなく、1行あたりの判断の数が多いから
バレットジャーナルの原典にある記法は、タスク・イベント・メモの3種類を基本に、優先、着想、移動、先送り、完了、中止などの印が加わる。さらにページの種類がインデックス、フューチャーログ、マンスリー、デイリーと4層ある。
記法が多いこと自体は欠点ではない。半年続けた人にとっては、印の違いが読み返しの速度になる。ただし始めた週の自分にとっては、1行書くごとに「記号を選ぶ」「ページを選ぶ」という2つの判断が増える。1日10行なら判断は20回で、これが毎晩続く。
ノートが開かなくなる直前に起きているのは、たいてい判断の積み上がりである。だから最初に削るのは書く量ではなく、記号の種類とページの種類になる。手帳そのものが続かない状態からの立て直しは手帳が続かないときに試す、週1回だけ開く運用にあり、この記事はこれから記法を決める段階を扱う。
手順: 記号3つ・1日5行で2週間回す
1. 記号を3つだけ決める(1分)
使う記号は次の3つに限定する。
- ・(中黒) これからやること。予定もメモもすべてこれで書く
- ×(バツ) 終わったこと。・の上に重ねて書く
- →(右矢印) 今日はやらないと決めたこと。翌日か翌週へ移す印
優先の星、着想の電球、イベントの丸は、最初の2週間は使わない。種類を分けたくなったら、行の末尾に括弧で「(予定)」と書けば足りる。記号を増やすのは、3つで2週間回ったあとでよい。
2. ページは「今日」と「今週」の2種類にする(3分)
ノートの見開き左に今週のページ、右に今日のページを置く。インデックスとフューチャーログは作らない。月のページも作らない。
今週のページに書くのは、締切のある3件までである。今日のページは白紙のまま始める。見開きが1週間で埋まるため、ページ番号の管理も要らなくなる。
3. 1日の終わりに5行だけ書く(3分)
夜、今日のページに最大5行書く。順番は決めておく。
- 今日やったことを・で2行
- 終わったものに×を重ねる
- 明日やることを・で2〜3行
5行を超えそうなときは書かずに止める。行数の上限は、書く気がある日のためではなく、書く気がない日のために決める。10行書ける日に5行で止めておくと、翌日の心理的な入口が低いままになる。
何を書くかで迷う日は、今日いちばん時間を使った作業を1つだけ書く。書く中身が出てこない状態が続く場合の出し方は書くことが思いつかないときの対処にまとめた。
4. 週1回、10分で移し替える(10分)
日曜か月曜に、今週のページを見返して3つの作業をする。
- ・のまま残っている行に、→を書いて来週のページへ写す
- →を書き写すとき、同じ行が3回目の移動なら、横に「3回」と書く
- ×が並んだ行は数えるだけにして、評価は書かない
この移し替えが、バレットジャーナルで唯一のまとめ作業である。週次の振り返りをここに足す場合の手順は週1回の振り返りのやり方にある。
5. 2週間後に、記号を増やすか決める(5分)
14日分のページをめくり、「→が3回以上ついた行」と「書かなかった日の数」の2つだけを見る。記号が足りないと感じた場合に限って4つ目を足す。足りないと感じなければ、3つのまま続けてよい。
実際にやると、ここでつまずく
いちばん多いのは、3日目あたりで記号を増やしたくなることである。予定とタスクを分けたくなり、丸と四角を足す。すると翌日から判断が戻り、1週目の終わりに開かなくなる。増やしたくなったら、記号ではなく行の末尾の括弧書きで処理する。
次に多いのが、→が並んだページを見たくなくなることである。移し替えが3週続いた行は、たいてい1行が大きすぎる。「確定申告の準備」のような行は、→を書く代わりに「必要書類を1つ探す」と書き換えると動く。
もう1つは、空白の日をあとから埋めようとすることである。2日空いたページに遡って書こうとすると、思い出す作業が入って30分かかる。空白の日は日付だけ書いて、線を1本引いて次に進むほうが止まりにくい。
4〜5週目に起きるのは別の詰まりで、ノートが厚くなると前の週を見返さなくなることである。移し替えは直前の1週間しか見ないため、1か月前の→の繰り返しは視界から消える。読み返しの形を変える方法は振り返りノートの書き方に書いた。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
続けにくいのは、移し替えが毎週かならず人の手で起きるところである。紙のノートは、前の週に何を先送りしたかを自分で写さないと次の週に現れない。写す作業を1回飛ばすと、その行は紙の上では存在しなくなる。
もう1つは、繰り返しに気づくまでの距離である。→が3回続いた行は、3週間分のページを並べて初めて見える。ノートは1日1ページで進むため、同じ行が何度戻ってきたかは数えないと分からない。
LifeOSは週1回の振り返りを前提にしていて、前の週に出た言葉を踏まえた問いが次の週に出る形になっている。紙のノートでいえば「先週の→を写す」工程が、次の回の入口としてあらかじめ渡される位置にある。記号や行数を自分で決める自由さは紙のほうが大きいため、置き換えるものではなく、移し替えが途切れる部分を補う使い方になる。
記号を決めるところから1人で始めるのが重い場合は、週1回ぶんの短い問いから試す形もある。LifeOSを3分だけ試すと、前の週の言葉が次の週にどう渡されるかは見える。
よくある質問
バレットジャーナルの記号は本来いくつありますか
原典の記法ではタスク・イベント・メモの3種類を基本に、完了、移動、先送り、中止、優先、着想などの印が加わり、合計で10前後になる。すべて使う必要はなく、公式の解説でも自分用に減らすことは前提とされている。この記事で3つに絞っているのは、始めた週の判断回数を下げる目的のためである。
ノートは専用のものを買ったほうがいいですか
方眼やドット罫のノートは線を引きやすいが、必須ではない。手元にあるA5の横罫ノートで同じ手順が回る。専用ノートを買う判断を先に置くと、買うまで始まらないことがあるため、2週間は手元のノートで試し、続いた時点で選び直すほうが早い。
アプリで同じことをするのとどちらがいいですか
移し替えの手間はアプリのほうが小さく、記法を自由に決められるのは紙のほうである。どちらが合うかは、夜にノートを開く場所が決まっているかで変わりやすい。机に向かう習慣がある場合は紙、移動中に書く場合はアプリのほうが行数が残りやすい。両方を使い、平日はアプリ、週1回の移し替えだけ紙で行う形もある。
