AIに厳しめに分析させる頼み方と、止めどきを先に決める方法

2026-10-01 | blog

目次

AIに厳しめの自己分析を頼むとは、自分を低く評価させることではない。「自分が書いた1つの前提について、それが成り立たない可能性を挙げさせる」という、範囲を限った依頼である。 厳しさの対象は自分の人格ではなく、自分が書いた文の1か所に限定する。そして依頼する前に、どこで止めるかを決めておく。

この記事では、「厳しく分析して」という依頼文を範囲指定のある形へ書き換える手順と、始める前に止めどきを1行で決める手順を書く。所要は準備5分、対話は2往復まで。

「甘い」と感じて強い言葉を足していく

AIに自己分析を頼むと、肯定的な文が並ぶことが多い。読んでも手応えがなく、当たり障りのない励ましに見える。そこで頼み方を変える。「厳しく」「遠慮なく」「本音で」「辛口で」と足していく。

すると出力の語調が変わる。「〜という傾向が足を引っ張っています」「根本的な問題は〜」といった文が返る。読んだ直後は、言われた気がして納得する。ところが数時間後に思い出すと、指摘の中身ではなく強い語だけが残っている。何を直せばいいかは分からない。翌日また同じことを聞き、同じ強さの文をもらう。

こうなる仕組みは単純である。「厳しく」は語調の指定であって、内容の指定ではない。指定が語調にしか掛かっていないので、返ってくるのは同じ内容を強い語で言い直した文になる。さらに、材料が少ないまま強い語調を求めると、AIは一般的に指摘されやすい性格の型を当てはめて書く。自分の話ではない文が、強い語で返ってくる状態である。

「厳しく」を3種類に分ける

欲しかったものを先に切り分ける。強い語調を求めているとき、実際に欲しいものは次のどれかであることが多い。

(1) 反証: 自分が書いた前提が、成り立たない場合を挙げてほしい。
(2) 抜け: 自分が触れていない条件や、書いていない事実を指摘してほしい。
(3) 別解釈: 同じ出来事を、自分と違う筋で説明してほしい。

このどれも、語調は普通のままで成立する。逆に、この3つのどれにも当てはまらない「厳しさ」は、自分の性格や能力への評価になる。AIにそれを書かせても、確かめる方法がない。確かめられない文は、自己分析の材料にならない。

以降の手順では、(1)(2)(3)のうち1つだけを選んで依頼する。3つ同時に頼むと、結局は総評が返る。

手順1: 対象を1文にする(3分)

最初に、厳しく見てもらう対象を自分で書く。長くしない。自分が今そう思っている前提を1文にする。

例をいくつか挙げる。

  • 「自分は人に任せるのが苦手だから、作業量が減らない」
  • 「今の仕事が合わないから、毎週の終わりに疲れが残る」
  • 「朝に時間を取れないのは、夜型だからだ」

いずれも「AだからB」の形になっている。この形にしておくと、AIが反証しやすい。形容詞だけの文(「自分は要領が悪い」)は反証の取っ掛かりがないので、「〜だから〜になっている」まで伸ばす。

対象がこの1文に限定されている、という点が重要である。この後の依頼で、AIが評価してよいのはこの文であり、書いた人ではない。

手順2: 依頼文に範囲と形式を書く(2分)

依頼文には、次の4つを入れる。語調の指定は入れない。

  1. 対象の1文(手順1で書いたもの)
  2. やってほしいことの種類(反証/抜け/別解釈のうち1つ)
  3. 出力の個数と長さ(「3つ、各2行以内」など)
  4. やらないでほしいこと(人格や能力の評価、励まし、まとめ)

依頼文の形にすると、こうなる。

次の1文について、成り立たない場合を3つ挙げてください。各2行以内。
「自分は人に任せるのが苦手だから、作業量が減らない」
条件: 私の性格や能力についての評価は書かないでください。
励ましもまとめも不要です。挙げるのは、この文が当てはまらない状況だけにしてください。

「抜け」を選ぶなら2行目を「この文で触れていない条件を3つ挙げてください」に替える。「別解釈」なら「同じ状況を、この文とは違う理由で説明する筋を3つ挙げてください」に替える。

依頼文の型そのものをもっと詰めたい場合は、ChatGPTへの質問が上手くなる3つの型に汎用の書き換え方がある。この記事で扱っているのは、そのうち自己分析の場面に限った範囲指定である。

手順3: 止めどきを、始める前に1行書く(1分)

依頼を送る前に、手元に1行書く。これが本題である。

今日は2往復で終わり。読んで気分が沈んだら、その時点で閉じる。

止めどきを先に決める理由は2つある。

1つ目は、往復が増えるほど内容が薄くなること。 1回目の出力には材料がある。2回目は、その出力を材料にした出力になる。3回目以降は、AIが前の出力を言い換える割合が増えていく。厳しい語調を求め続けると、この言い換えが強くなり、根拠のない断定へ寄る。2往復という数字は、材料が自分の1文しかないときに内容が残っている範囲としての目安である。

2つ目は、読んだ後の自分の状態を、読む前の自分に決めさせておくこと。 反証を3つ読むと、納得する場合もあれば、沈む場合もある。沈んでいる最中は「もっと言ってもらった方がいい」と思いやすく、そのまま追加で頼むと、さらに強い語が返る。先に線を引いておくと、その場で判断しなくて済む。

線は自分で決めてよいが、次の2つは入れておくとよい。

  • 回数(2往復、など)
  • 閉じる合図(読んで沈んだら閉じる、時計で15分たったら閉じる、など)

手順4: 返ってきた3つを1行ずつ判定する(5分)

出力の3つを順に見て、それぞれに次のどれかを付ける。長い判断は書かない。

  • 確かめられる: 次の1週間で、当てはまるかどうか観察できる
  • 確かめられない: 観察の方法が思いつかない
  • 対象外: 自分の1文についてではなく、人格や能力の評価になっている

「対象外」が混ざっていたら、それは読まずに落とす。依頼で外したはずのものが出てきただけで、内容を検討する対象ではない。

残った「確かめられる」の中から1つだけ選び、次の1週間で観察する。3つ全部を持ち帰らない。採否をもっと厳密に決めたい場合は、AIが出した自己分析をどこまで採るかに3枠の振り分け方がある。

ここでつまずく: 反証を読んで、反論したくなる

実際にやると、ここで手が止まる。反証の3つを読んで、「いや、それは違う」と思う。そして次のメッセージで説明を始める。往復が増える。

このとき起きているのは、AIに納得させようとする作業への切り替わりである。相手は判定者ではないので、納得させても何も決まらない。

外し方は1つで、反論を送らずに、手元に1行書くことである。

2番目は違う。理由は、〇〇のとき実際には人に渡している。

この1行が出てきたら、その回の収穫はもう出ている。自分の側に反例が具体的に1つ出てきた、ということだからである。AIへ送る必要はない。ここで止めどきの線を使う。

もう1つのつまずきは、3つのうちどれも「確かめられない」だった場合である。このときは依頼文の対象が抽象的すぎる。手順1に戻り、1文を場面付きに書き直す。「人に任せるのが苦手」を「先週の資料を人に渡さず自分で直した」に替えると、反証が具体的になる。

厳しさを求めるのをやめた方がよい場合

これは手順の前提の話である。自分を責める方向の文が読みたい、という気持ちがあるときに、この手順は使わない。 反証は、前提の点検のための道具であって、自分への評価を集めるための道具ではない。

読んだ後に沈む時間が長い、あるいは同じ問いを繰り返し投げている、という状態に気づいたら、手順3で書いた線の通りに閉じて、その日は続けない。何日か離れてよい。

AIが書いた文は、あなたについての判定ではない。診断でもない。渡した1文から統計的にあり得る言い方を並べたものである。気分の落ち込みが続いていると感じる場合は、この手順で扱うことではないので、信頼できる人や専門の窓口に相談する選択も含めて考えてよい。

書ける範囲そのものを先に限定してからAIに向かう方法は、AIに正直に書けないときは、書く範囲を先に決めてから始めるにある。AIを振り返りに使う全体像はAIジャーナリングとはにまとめてある。

LifeOSでの扱い

LifeOSは、AIとの対話で自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りでそれを更新していくサービスである。対話の目的が「価値観を言葉にする」ことに置かれているため、人格の評価を出力する方向の対話にはなりにくい。この記事の手順で言えば、対象を限定する部分が仕組みの側で決まっている形になる。

診断・治療・カウンセリングを提供するサービスではない。無料で試せる範囲ではカード情報の入力は不要で、有料プランは月額1,500円(税込)、年額12,000円(税込)である。

依頼文を毎回書き直すのが面倒になってきたら、試してみてもよい。

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よくある質問

「厳しく」と書かずに厳しい指摘は得られますか

語調を強めなくても、反証・抜け・別解釈を個数付きで頼めば、自分の前提が崩れる内容は返ってくる。読んだときの手応えが弱いと感じる場合、多くは対象の1文が抽象的である。1文に場面と時期を入れると、返る内容が具体的になる。

2往復で止めると情報が足りない気がします

足りないと感じたときは、往復を増やすのではなく、材料を増やして日を変える。週次の振り返りの記録を1回分渡して、同じ依頼文をもう一度出す形にすると、2回目の出力は前回の言い換えにならない。同じ日に続けるより、材料が変わる方が中身が変わる。

出てきた指摘が当たっているか分かりません

当たっているかを読んだ場では決めない。この手順では「次の1週間で観察できるか」だけで仕分ける。観察できる1つを持ち帰って、週末に当てはまったかどうかを見る。当てはまらなければ落とす。判定を先延ばしにすること自体が、この手順の目的である。