ジャーナリングの時間帯を決めるとは、書く行為を1日のどの固定の出来事の直後に置くかを決めることである。 朝か夜かという問いは、どちらが効果的かではなく、自分がどちらの時間帯なら実際に手が動いたかで答えが出る。そして、それは過去2週間の記録から読み取れる。
この記事で扱うのは、書けなかった回の止まり方を3種に分け、多いほうから時間帯を仮決めし、7日ずつ片方だけ試して判定する手順である。所要は準備20分と、2週間ぶんの試行。朝型か夜型かという体質の判定はしない。
「夜に書く」と決めたのに、3回に1回しか書いていない
夜のほうが1日を振り返れるから、と夜に決めた。寝る前にノートを開く予定だったが、実際に開いたのは2週間で5回。開かなかった日のことを思い出すと、理由はばらついている。残業で遅くなった日、見たい配信があった日、布団に入ってから「明日でいいか」と思った日。
そこで「朝にしてみよう」と移す。朝は3日続いて、4日目に寝坊して飛ばし、5日目に「夜のほうが書くことがあるな」と戻す。こうして朝と夜を行き来したまま、どちらの形も定着しないまま1か月が経つことがある。
ここで起きているのは、時間帯を書きたい気分の強さで選んでいることである。気分は日によって動くので、その基準で選ぶと、選び直しが毎週発生する。
選べないのは、止まり方の種類を分けていないから
書けなかった日をまとめて「書けなかった」と数えると、何も分からない。実際には止まり方には種類があり、種類ごとに向いている時間帯が違う。
- 時間が取れなかった(予定が入った、帰りが遅かった)
- 時間はあったが眠かった/集中が切れていた
- 机に向かったが、何を書くか決まらなかった
1つめが多い人は、予定の影響を受けにくい時間帯、つまり朝のほうが成立しやすい。朝は終わりの時刻が出勤や登校で外から決まっているため、始まりも固定しやすい。2つめが多い人も朝側である。3つめが多い人は、時間帯よりも入口の設計が先で、ジャーナリングが続かない理由を仕組みで解決する方法にある問い・置き場所・終わり方の固定を済ませてから、この記事に戻るほうが順番としては早い。
振り返りや記録の形式が意志より先に効く理由は振り返りが続かないのは意志の問題ではないにまとめてある。
手順: 止まり方を数えて、7日ずつ試す(準備20分+14日)
1. 直前2週間の14日を、書けた/書けなかったで埋める(5分)
紙に14マスを書き、書いた日に○、書かなかった日に空欄を入れる。記録が残っていない日は、カレンダーの予定とスマートフォンの写真を見れば、だいたい復元できる。正確さは要らない。必要なのは比率ではなく、空欄の日の事情である。
2. 空欄の日に、止まり方の記号を1つ付ける(10分)
空欄のマスへ、前節の3種から1つだけ選んで書く。
- A = 時間が取れなかった
- B = 時間はあったが眠かった/集中が切れていた
- C = 向かったが何を書くか決まらなかった
迷う日は、その日いちばん先に起きたことで決める。眠くて布団に入ってから予定が思い出せなかったなら B である。複数付けると集計できなくなるので1つに限る。
3. 多いほうから時間帯を仮決めする(1分)
AとBの合計がCより多ければ朝を仮決めする。CがA+Bより多ければ、時間帯の選択より入口の固定が先なので、この手順はいったん止める。AとBがほぼ同数で、かつCが少ない場合も朝でよい。夜を仮決めするのは、Aがほとんどなく、Bもない(=そもそも空欄が少ない)場合だけである。言い換えると、今の夜の形で足りている人は替える必要がない。
4. 仮決めした時間帯の、前後の固定動作を決める(4分)
時刻ではなく、すでに毎日必ずやっている動作の直後に置く。朝なら「歯を磨いたあと」「ケトルの湯が沸くまで」「電車の座席に座ったら」。夜なら「食器を片付けたあと」「風呂から出て水を飲んだあと」。
同時に、終わり方を1つ決める。時間で切る(3分のタイマー)か、行数で切る(3行書いたら閉じる)か、どちらかにする。両方決めると、どちらに従うかの判断が毎回入る。
5. 7日だけその形で試し、記録は○×だけ(7日)
書けた日に○、書けなかった日に×を付ける。内容の良し悪しは見ない。途中で時間帯を替えたくなっても、7日は替えない。替えると、そのあと何を判定しているのか分からなくなる。
6. 次の7日は、もう片方の時間帯で同じことをする(7日)
手順4と同じやり方で、反対の時間帯に固定動作を決めて7日。両方の7日が終わったら、○の数と1回の所要時間の感覚(短い/ちょうど/長い)の2点だけを比べる。○が同じ数なら、所要が短く感じたほうを採る。
実際にやると、ここでつまずく
手順2で、空欄の日の事情が思い出せないことがある。思い出せない日は記号を付けずに空欄のまま残し、付いた日だけで数える。全部を埋めようとすると、この集計で30分以上かかり、本題に入る前に終わる。
手順5でよく崩れるのは、7日目の判定を待たずに替えてしまうことである。3日連続で×が付くと、形が間違っていると感じて替えたくなる。ここは×が3つ付いても7日を回しきるほうが情報が増える。逆に、朝の7日が全部○で快調だった場合、夜の7日を省略したくなるが、省略すると比較にならない。比較を省くなら、最初から朝で続けると決めてしまったほうが整合する。
もう1つは、朝に移した結果、書く内容が「今日やること」の整理に変わっていくことである。これは時間帯の副作用で、朝に置くと視線が前へ向く。前を向く書き方が目的ならそれでよいが、1日を振り返る目的で始めたなら、問いを「昨日いちばん時間を使ったこと」のように昨日へ固定しておく。週次振り返りを朝に置く場合の分量と型の設計は朝に振り返りを回す運用に書いた。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
続けにくいのは、14日のあいだ判定を保留し続けるところである。1週目の途中で結論が出た気になり、そこで手順が終わってしまうことがある。また、生活の形が変わると(勤務時間、同居人の有無、季節による起床時刻)、一度決めた時間帯が合わなくなる。そのたびに14日の比較をやり直すのは現実的ではない。
もう1つは、○×の記録そのものが面倒になることである。書く作業に、書いたかどうかを記録する作業が足されるため、2週間が限界に近い。
LifeOSは、週1回の振り返りを前提にしている。毎日の時間帯を自分で管理するのではなく、週に1回のタイミングで対話が進む形なので、朝と夜のどちらに置くかという判断そのものが週1回ぶんに減る。前の週に出た言葉を踏まえた問いが出るため、「何を書くか決まらない」種類の止まり方(前節のC)も起きにくい。
時間帯を2週間かけて比べるのが重い場合は、まず週1回だけの形から試す選択もある。LifeOSを3分だけ試すと、毎日の時間帯を決めずに始める形がどういうものかは分かる。
よくある質問
朝型か夜型かの体質に合わせたほうがよいのではないですか
体質の判定はこの手順では扱わない。扱うのは、過去2週間に実際に手が動いたかどうかだけである。自分が朝型だと考えている人でも、朝に予定が詰まっていれば書けないことがある。順序としては、体質の自己判断より先に、2週間の実測を見るほうが材料が多い。
朝と夜の両方に書いてもよいですか
比較の期間中は片方だけにする。両方に置くと、どちらが効いたのか分からなくなり、しかも1日2回ぶんの負荷が乗るため、7日もたないことが多い。14日の比較が終わって時間帯が決まったあとで、もう片方に別の目的の記録を足すかは、別の判断として考えられる。
書く内容は朝と夜で変えるべきですか
比較している2週間は変えない。内容を変えると、時間帯の違いと内容の違いが混ざる。決まったあとに、朝なら前日について、夜なら当日について、と対象を合わせていくのは自然な調整である。
