KPTを個人の週次振り返りに使う手順と注意点

2026-08-29 | blog

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KPTとは、振り返りの内容をKeep(続けること)・Problem(問題)・Try(次に試すこと)の3欄に分けて書く型のことである。 もともとはチームやプロジェクトの改善会議で使われてきた型で、複数人が同じ画面を見て議論する前提で作られている。これを1人の週次振り返りにそのまま持ち込むと、欄の埋まり方が偏る。この記事では、個人用に組み直すための3つの制約と、20分で1回を終える具体的な手順を書く。紙1枚とペンだけで実行できる。

Problem欄だけが伸びていく

日曜の夜、ノートに3つの欄を書いてKPTを始める。Keepに「朝の散歩を続けた」と1行書く。Problemに移ると、手が止まらない。「メール返信が遅れた」「資料の着手が遅い」「運動できていない」「食事が雑」——気づけば10行を超えている。最後のTryに来たところで疲れていて、「全部ちゃんとやる」と書いて閉じる。翌週、そのTryが実行されたかどうかは確認できない。

こういう終わり方をしたことがある人もいる。3回続くと、開くこと自体が気重になってくる。

偏るのは、チーム用の設計を1人で使っているから

チームのKPTでは、Problemを挙げる人と、それを引き取る人が別であることが多い。誰かが問題を出し、別の誰かが「それはこう対処できる」と返し、担当が決まってTryになる。問題の量が個人の負荷に直結しない構造になっている。

1人でやると、この分業がなくなる。挙げた問題はすべて自分に返ってくるので、Problemが伸びるほど、Tryで引き受ける量が増え、実行できない量になる。個人用に必要なのは、型を変えることではなく、欄ごとに上限を設けて分業の代わりをさせることである。

個人用KPTの3つの制約

書き始める前に、次の3つを紙の上に先に書いておく。

  1. Keepは2行以上(下限を置く)
  2. Problemは3行まで(上限を置く)
  3. Tryは1件だけ(上限を置く)

Keepにだけ下限を置くのは、1人だと「うまくいったこと」を書き落としやすいからである。他人の目がないため、成果は当たり前として処理され、問題だけが記憶に残る。下限があると、探す作業が発生する。

20分で1回を終える手順

1. 事実を先に書き出す(7分)

いきなり3欄に振り分けない。まず今週あったことを、良し悪しの判断を入れずに5〜8行、箇条書きで書く。カレンダーとメッセージアプリの送信履歴を見ながら書くと、思い出す負荷が下がる。

この工程を飛ばすと、記憶に残っている強い出来事(多くは失敗)だけが材料になり、Problemが最初から偏る。

2. Keepを2行以上拾う(3分)

書き出した事実から、来週も同じようにやるものを2行以上選ぶ。「うまくいったこと」ではなく「来週も同じにするもの」で選ぶと、平凡な項目(起きる時間、移動の経路、連絡の順番)も対象になり、2行は埋まる。

3. Problemを3行まで選ぶ(5分)

事実のうち、変えたいものを最大3行。4つ目以降が浮かんだら、別紙かメモの末尾に「今週は扱わない」欄を作ってそこへ移す。捨てるのではなく、扱う対象から外すだけにしておく。

3行に絞るときの基準は「深刻さ」ではなく「来週の自分が触れる範囲にあるか」にする。他人の判断待ちや、来週動きようがない項目は、書いても行動に変わらない。

4. Tryを1件だけ、動詞と曜日で書く(5分)

Problem3行のうち1つだけを選び、Tryを書く。書き方の条件は2つ。動詞で終わることと、いつやるかが入っていることである。

  • 悪い例: 資料作成を早める
  • 良い例: 火曜の朝イチに、資料の見出しだけ書く

「早める」「意識する」「ちゃんとやる」は、翌週に実行を確認できない。確認できないTryは、次回の材料にならない。

5. 翌週の冒頭で、前回のTryを1問だけ確認する(1分)

次の回の最初に、前回のTryを見て「やったか、やらなかったか」だけ書く。理由の分析はしない。やらなかった週が2回続いたTryは、内容ではなく大きさの問題であることが多いので、そのときは同じTryを半分の粒度に割って書き直す。

実際にやると、ここでつまずく

筆者が最初につまずいたのは、Problemの3行制限を「重要度の高い順に3つ選ぶ」と解釈したことだった。すると毎週、同じ大きな問題(運動不足、着手の遅さ)が上位に居座り、3週続けて同じProblemと同じTryが並んだ。記録としては正しいが、読み返しても差分がない。「来週触れる範囲にあるか」で選ぶよう基準を変えたら、毎週別の項目が入るようになった。 大きな問題は消えないが、それは週次のKPTで扱う対象ではない、と割り切るほうが回った。

もう1つは、Tryを3件書いていた時期があったことだ。3件のうち1件だけ実行し、残り2件が翌週へ繰り越され、それが積み上がって「やっていないことリスト」になった。1件に絞ってからは、繰り越し自体が発生しなくなった。Tryの件数は、実行できる量ではなく、翌週に確認できる量で決めるほうがよい。

型そのものが自分に合っているかを先に確かめたい場合は、振り返りフレームワーク5種の使い分け(KPT・YWT・4行日記ほか)で、詰まる場所から型を選ぶ手順を扱っている。

この手順の続けにくい点と、LifeOSがそれをどう扱うか

正直に書くと、個人用KPTには残る難しさが2つある。1つは、Problemの選別とTryの粒度調整を、毎回自分で判断する必要があること。制約を置いても、判断そのものは消えない。もう1つは、週ごとの記録が独立しやすく、3か月分をまとめて読んで傾向を見る作業が別に必要になることである。紙で運用しているとこの読み返しが特に重い。

LifeOSは、AIとの対話で自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りでその言葉を更新していく日本語サービスである。質問がこちら側から出てくるため、欄を自分で埋める形式ではなく、答えていくと1週間分が整理される形になる。週次の回は前回までの内容を前提に進むので、前回の話を毎回書き写す必要がない。登録前に3分で試せる体験があり、カード情報の入力は不要である。

→ 3分で、今の自分を整理する(LifeOS)

週次振り返り全体の準備や所要時間の設計は、週1回の振り返りのやり方。準備・質問・所要時間の完全ガイドにまとめてある。

FAQ

KPTは個人でも効果がありますか?

効果を保証できるものではないが、個人で使う場合は欄ごとに上限・下限を置くと、チーム用のまま使うより破綻しにくい。目安はKeep2行以上、Problem3行まで、Try1件である。1人だと挙げた問題を引き取る相手が自分しかいないため、上限を置かないとTryの量が実行可能な範囲を超える。逆に、この3つの制約さえ置けば型そのものは変えずに使える。

KeepとTryが毎週同じ内容になってしまいます

Keepが同じなのは問題ではない。Keepは「来週も同じにするもの」なので、繰り返し出てくること自体が安定を意味する。一方Tryが3週続けて同じなら、粒度が大きすぎる可能性がある。同じTryを半分に割り、「いつ・何を」まで含む1文へ書き直すと変わることがある。それでも同じなら、そのTryは週次で扱う大きさではないと判断して、Problemの「今週は扱わない」欄へ移す方法もある。

KPTを書く時間はどれくらいが適切ですか?

この記事の手順では20分(事実出し7分、Keep3分、Problem5分、Try5分)を想定している。30分を超えるようなら、事実の書き出しが多すぎるか、Problemを絞らずに全部書いている可能性が高い。時間を短くしたい場合は、削るのはProblemの行数であってKeepではない。Keepを削ると、翌週に読み返したときに記録が問題の列挙だけになり、開くこと自体が重くなる傾向がある。