自己分析プロンプトを自作するとは、白紙から指示文を書き起こすことではなく、既成のプロンプト1つを行に分解し、自分が答えられない質問を消して残りを並べ替えることである。 白紙から書くと、結局どこかで見た質問を思い出して並べることになり、自作したはずのものが既成品と同じ形になる。削る作業から始めると、残った質問がそのまま自分用になる。この記事はその削る工程だけを扱う。所要は30分、必要なのは既成のプロンプト1つと対話型AI1つである。
保存したプロンプトが長すぎて、3問目で手が止まる
SNSで見つけた「自己分析が深まる10の質問」をコピーして、ChatGPTに貼った。1問目「これまでの人生で最も誇れる経験は何ですか」には答えられた。2問目も何とか書いた。3問目「あなたの人生の使命は何だと思いますか」で止まり、そのまま画面を閉じた。
数日後に開き直しても、同じ3問目で止まった。プロンプトの内容が悪いわけではない。ただ、自分がいま答えられる質問と答えられない質問が混ざっている。
止まるのは、質問の深さと自分の材料が合っていないから
既成のプロンプトは、誰にでも使えるように作られている。そのため「人生の使命」のような、答えるのに材料が大量に必要な質問と、「今週いちばん時間を使ったこと」のような、すぐ答えられる質問が同じ並びに入る。
順番も、たいてい深い順ではなく印象的な順になっている。1問目に重い質問が置かれていることも多い。この並びのまま上から答えると、材料が足りない質問で止まる。止まった時点で、それ以降の質問には進めない。
だから自作の作業は、質問を考える作業ではなく消す作業と並べ替える作業になる。足す側の調整――コピーしたプロンプトに1行だけ足して浅さを直す方法――は別の入口なので、ここでは扱わない。1問だけを書き直したい場合はChatGPTへの質問が上手くなる3つの型のほうが近い。
手順: 10問を5問に削って1枚にする(30分・1回)
1. 既成のプロンプトを1つだけ持ってくる(3分)
手元に保存してあるものから1つ選ぶ。選ぶ基準は「質問の数が5問以上あるもの」である。数が少ないものは削る余地がないので、この手順に向かない。複数を混ぜると、同じことを聞く質問が重複して残るので避ける。
どれを選ぶか迷う場合は、用途ごとに整理した一覧から1つ取るのが早い(振り返りに使えるAIプロンプト12個と、使い分けの基準)。
2. 質問を1行1問に分解して番号を振る(3分)
メモアプリに貼り直し、1行に1問だけになるよう改行する。指示文の部分(「あなたはプロのコーチです」など)は、質問ではないので下のほうへ避けておく。番号を振ると、問数が正確に分かる。10問だと思っていたものが、1行に2問入っていて実は13問だったということが起きる。
3. 「30秒で書き出せない質問」を消す(8分)
上から順に、各質問について30秒だけ考える。頭の中に具体的な場面か固有名詞が1つも浮かばない質問は消す。浮かんだ言葉が「たぶん成長だと思う」のように抽象語だけだった場合も消す。
この基準にしているのは、抽象語だけで答えた質問にAIが返すのも抽象的な内容になるからである。材料が抽象語なら、出力も抽象語になる。消すのは自分の能力の問題ではなく、その質問に対して手元の材料が足りていないという判定にすぎない。
消した質問は削除せず、ファイルの下のほうへ移す。半年後に材料が増えていれば戻せる。
4. 残った質問を5問以内に絞り、答えやすい順に並べ替える(4分)
手順3を通っても6問以上残った場合は、内容が近いものを1つにまとめて5問以内にする。上限を5問にしておくのは、AIの回答が1問あたり数百字返るため、6問を超えると読み切れない分量になるからである。
並べ替えの基準は1つだけにする。「事実だけで答えられる質問」を上に、「判断や意味づけが必要な質問」を下に置く。たとえば「今週いちばん時間を使ったことは何か」は上、「それは自分にとって何を意味するか」は下である。事実から書き始めると、下の質問に答えるときに使える材料が自分の手元にできている。
5. 先頭に前提3行を置く(5分)
質問の上に、次の3行を書く。1行ずつ、自分の言葉で埋める。
- 自分について1行: 職業や年代ではなく、いま判断に迷っていることを1つ書く(例「来年も同じ仕事を続けるかを決めかねている」)
- 返し方の条件を1行: 条件は1つだけにする(例「断定ではなく、材料が足りない箇所を指摘してください」)
- 出力の形を1行: 分量と単位を書く(例「1問につき3行以内で返してください」)
条件を1つに絞るのは、複数入れると守られる条件が1つだけになり、どれが守られたのか分からなくなるからである。守られなかったときに原因を特定できる形にしておく。
6. 1回使って、詰まった質問をもう1問消す(6分)
作った1枚をそのまま貼って、最後まで答える。答え終わったら、自分の回答が2行未満だった質問に印を付ける。その質問を1問消す。5問が4問になる。
これで完成とする。2回目以降は同じ1枚を使い、削るのはここで止める。消し続けると1問になり、1問だけのプロンプトは既成のものと変わらなくなる。
7. 保存名に日付を入れて、次に開く日を決める(1分)
ファイル名は「自己分析_4問_2026-09」のように、問数と年月を入れる。見直す日を3か月後に決め、同じファイルの1行目に書く。その日には手順3で下へ移した質問を読み返し、1問だけ戻すかどうかを決める。
実際にやると、ここでつまずく
削ると不安になって、消した質問を戻してしまう。 5問だけの1枚を見ると、手抜きに見える。そして「せっかくだから」と2問足し、7問に戻る。対処は、手順4の上限5問を紙に書いて、ファイルの1行目に固定しておくことである。上限を文字で見える場所に置くと、足すときに上限を消す操作が必要になり、その一手間で止まる。
前提3行の1行目に、自分の経歴を書いてしまう。 「30代・営業職」のような属性を書くと、返ってくるのは同じ属性の人に向けた一般的な内容になる。属性はAIが平均を出すための手がかりになるので、個別性が下がる。対処は、1行目を必ず「迷っていること」の形で書くことである。属性より、判断の対象が書かれているほうが答えが絞られる。
AIが前提3行を読んでいないように見える。 出力の形(3行以内など)だけが守られ、返し方の条件が無視されることがある。対処は、条件を質問の直後へ移すことと、「〜しないでください」の否定形を「〜を指摘してください」の指示形へ書き換えることである。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
正直に書くと、1枚を作る30分は1回で終わるが、作った1枚を保存した場所を忘れる。プロンプトはメモアプリの1ファイルなので、他のメモに埋もれる。次に自己分析をしようと思ったとき、探すより新しいものをSNSで拾うほうが早いので、また10問のプロンプトから始めることになる。
もう1つは、質問を絞ったぶん、前回何を答えたかが残らない点である。同じ4問に3か月後に答えても、前回の回答が横にないと、変わったのかどうかが分からない。プロンプトは質問を保存する仕組みで、回答を保存する仕組みではない。
LifeOSは、対話を通じて自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りで更新していく日本語のサービスである。上の手順との関係でいうと、問いを毎回自分で用意する工程と、前回の回答を探す工程がサービス側に置かれている。問いは順に出てくるので、プロンプトを保存して探す必要がない。AIが返すのは断定ではなく仮説で、採るかどうかは項目ごとに本人が決め、本人が確認したものだけが次回以降の前提として残る。一方で、自分専用の質問文を作る作業を代行するサービスではない。質問の設計そのものを自分で持ちたい場合は、上の手順のほうが目的に合う。登録は3分ほどで、まず1回試してから判断できる。
AIを振り返りに使うときの全体像はAIジャーナリングとはにまとめてある。
よくある質問
プロンプトは何問が適切ですか?
この記事では上限を5問、検証後に4問としている。根拠は分量で、条件が外れると1問あたり数百字が返るためである。問数は多いほど深くなるわけではなく、答えられない質問が混ざった10問より、答えられる4問のほうが材料が残る。
有料のAIでないと自作プロンプトは使えませんか?
手順5の前提3行と4〜5問の質問は、無料で使える対話型AIでも投げられる分量である。無料と有料で差が出やすいのは、長い会話を続けたときの扱いのほうである。この手順は1回のメッセージで完結するので、影響は小さい。
自作したプロンプトの結果が、自分に当てはまらないと感じたときはどうすればよいですか?
当てはまらないと感じる場合、原因は質問文より材料にあることが多い。手順3で残した質問に、具体的な場面を1つずつ添えて投げ直すと変わることがある。それでも当てはまらないなら、その結果を採らない判断をして構わない。AIの出力は仮説であって、本人の状態を決めるものではない。
