AIが出した自己分析をどこまで採るか。採否の基準を先に決める

2026-09-25 | blog

目次

AIが出した自己分析の採否とは、返ってきた文章を一文ずつに切り、「その一文の根拠を、自分が渡した文のどこかで指せるか」で採用・保留・却下へ振り分ける作業である。 判定の枠と条件は、出力を読む前に紙へ書く。読んでから基準を作ると、文章の説得力のほうが基準を動かしてしまう。

読み終えた直後は納得していて、翌朝には信用できなくなっている

自己分析のプロンプトを流すと、1,500字くらいの分析が返ってくる。読んでいる間は「たしかにそうだ」と思う。スクリーンショットを撮る。

翌朝もう一度読むと、今度は何ひとつ確からしく見えない。どの行も、少し当てはまるし、少し外れている。結局「AIの自己分析は信用できない」で終わり、次はもっと良いプロンプトを探しにいく。プロンプトを変えても、翌朝の感じ方は同じである。

揺れるのは、読んだ後に判定しているから

返ってきた文章には、性質の違う3種類の行が混ざっている。自分が渡した材料をそのまま言い直した行、渡した材料から一段だけ進めた行、渡していないことを埋めた行の3つである。3つは同じ文体で並んでいるので、読んでいる最中は区別がつかない。

区別がつかないまま全体を「当たっているか」で読むと、文章のうまさが判定に混ざる。翌朝に信用できなくなるのは、文章の勢いが抜けた後に読み直しているからで、内容が変わったわけではない。

必要なのは、良いプロンプトではなく読む前に決めた振り分けの線である。線を先に引いておけば、文章のうまさは判定へ入ってこない。

手順: 3枠と2条件を先に書き、一文ずつ振り分ける(40分・1回)

1. 出力を開く前に、紙へ3枠と2条件を書く(5分)

まだAIの画面は見ない。紙を1枚用意して、縦に3つの枠を書く。

採用 / 保留 / 却下

その下に、判定の条件を2つ書く。

条件1(出典): この一文の根拠を、自分が渡した文のどこか、行で指せるか
条件2(反証): 直近1か月で、この一文に反する出来事を1つ挙げられるか

振り分けは機械的に決める。条件1が指せて条件2が挙がらない文だけが採用、条件1が指せて条件2も挙がる文は保留、条件1が指せない文は却下とする。ここまでを書いてから画面へ戻る。

2. 渡した材料に行番号を振る(5分)

自分がAIへ貼った文(経歴でも、1週間の出来事でも、質問への回答でもよい)を、1行ずつに切って上から番号を振る。番号はメモ帳で十分である。この番号が、後で「指せるか」を判定する唯一の参照先になる。

材料を貼らずに質問だけで出させた分析は、この時点で参照先が無い。その場合は条件1が全文で成立しないので、いったん材料を10行書いてから出し直す。

3. 分析を一文ずつに切り、出典の番号を書く(20分)

返ってきた分析をコピーして、句点ごとに改行する。1,500字なら25〜40文になる。各文の右に、根拠にあたる材料の行番号を書く。

「あなたは他者との調整に労力を割いている」→ 材料3、材料7
「その根底には、対立を避けたい気持ちがある」→ (指せない)

指せない文が半分前後出るのが普通である。指せない文に「たぶんここだろう」と番号を当てはめない。 当てはめ始めると、この手順が成立しなくなる。指せないときは空欄のままにする。

4. 条件2を当て、3枠へ振り分ける(8分)

番号の付いた文だけを見て、直近1か月から反する出来事を探す。1つでも挙がれば保留へ入れる。挙がらなければ採用へ入れる。番号の空欄だった文は、読まずに却下へ入れる。

採用は3文までとする。 4文目以降は、番号が付いていても保留へ回す。上限を決めないと、採用の枠が分析の要約と同じ長さになり、振り分けた意味が無くなる。

5. 保留を1つだけ、来週の予定に載せる(2分)

保留の中から1文だけ選び、それが出るはずの場面を来週の予定から1つ指す。「水曜の定例」のように、日付と場所を書く。その日が終わったら、当たったかではなくその文に合う動作を自分が実際にしたかだけを1行で記録する。2回続けて動作が無ければ却下へ移す。

実際にやると、ここでつまずく

手順3で、指せない文ほど気に入っている。 「根底には」「本質的には」で始まる文は、材料を離れているぶん深く読める。ここで番号を無理に付けたくなる。付けると、却下の枠が最後まで空のままになり、判定が「全部それらしい」へ戻る。指が止まったらその文は空欄でよい。

手順2で材料が足りず、やり直しになる。 3行しか貼っていない状態で長い分析を出させていた場合、条件1はほぼ全文で成立しない。これは分析の質の問題ではなく、材料の量の問題である。先に材料を10行そろえてから出し直すほうが早い。

手順4で、保留が10文を超えて処理しきれない。 保留が多いのは振り分けが正しく効いている状態だが、全部を確かめようとすると来週が埋まる。保留は箱に置いたままでよく、手順5で1つだけ選ぶ。

この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか

この振り分けは1回やると効くが、面倒なのは2回目以降である。3か月後に同じ分析を出したとき、前回どの文を採用し、どの文を却下したかが手元に残っていない。 紙は捨ててしまい、チャットの履歴は流れている。結果として、前回却下した文をもう一度採用しかけることになる。

LifeOSは、対話を通じて自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りで更新していく日本語のサービスである。上の手順との関係でいうと、採用した文と、それを確かめた週の記録が同じ場所に積まれるので、次に同じ問いを立てたときに前回の判断を参照先として使える。AIが返すのは断定ではなく仮説で、採るかどうかは項目ごとに本人が決める。一方で、採否を代わりに決めてくれるサービスではない。判定そのものはこの記事の手順どおり紙1枚でできるので、まず1回やってみて、2回目が面倒になったときに置き場所を考えれば十分である。

LifeOSを試してみる

関連する手順として、強みの語だけを扱う場合はAIに強みの候補を出させて、自分で採否を決める手順、性格の語として返ってきた場合はAIの性格診断プロンプトの結果を、当てものにしない読み方を参照してほしい。全体像はAIジャーナリングとはにまとめている。

よくある質問

AIの自己分析は、そもそも信用してよいものですか

信用するかしないかの二択で扱わないほうが手が進む。返ってきた文章は判定結果ではなく候補の一覧であり、採否を決めるのは材料を持っている自分の側である。この記事の手順は、その採否を文章の説得力から切り離すためのものである。

材料を長く貼るほど、分析の精度は上がりますか

長さより、指せる形かどうかが効く。評価や感想が混ざった10行より、日付と動作だけの10行のほうが、手順3で番号を当てやすい。量を増やす前に、1行1件の形に整えるほうが先である。

却下した文は消してしまってよいですか

消さずに、却下の枠のまま1枚に残しておく。次に同じ分析を出したとき、同じ文が返ってきたかどうかを見るためである。2回連続で同じ文が却下になるなら、その方向の質問自体を変えたほうが早い。