AIへの前提の渡し方とは、質問文の前に「直近7日の出来事を1行1件で並べた事実の行」を貼ることである。 日付・動作・数値だけを書き、評価語は入れない。質問を書き直す前にここを直すほうが、返ってくる内容は先に変わる。
質問を何度書き直しても、返ってくるのは同じ3項目
「最近うまくいっていないので、どうすればいいか」と打つ。返ってくるのは、優先順位を見直す・休息を取る・小さく始める、といった内容である。
質問を丁寧にしてみる。役割を与えてみる。箇条書きで返さないよう頼んでみる。文体は変わるが、中身の3項目は変わらない。5往復したあたりで、そもそもAIに聞くことではなかったのかもしれない、と思って閉じる。
一般論が返るのは、AIの手元に自分の事情が1行も無いから
AIは渡された文の範囲でしか具体的になれない。「最近うまくいっていない」という1行から作れるのは、その1行に当てはまる全員に当てはまる答えだけである。これは精度の問題ではなく、材料の量の問題である。
ここで多くの場合、質問文のほうを直しにいく。問いの形を変えるのは有効な手だが(ChatGPTへの質問が上手くなる3つの型で扱っている)、材料が1行のままだと、良い問いも同じ1行の上で回ることになる。
先に増やすのは問いの精度ではなく、事実の行数である。 順番を逆にすると、質問を何度も書き直す時間が要らなくなる。
手順: 前提6行を作って、質問の前に貼る(35分・1回)
1. 今の質問文を、変えずにコピーしておく(2分)
いま打っている質問文をそのままメモへ貼る。この手順の間、質問文は1文字も変えない。 変えてしまうと、後で何が効いたのか分からなくなる。比較するのは前提の有無だけにする。
2. 直近7日から、出来事を10行書き出す(15分)
カレンダーと送信済みメール、チャットの送信履歴を上から見て、出来事を1行1件で10行書く。記憶から書かず、記録から拾う。書き方は3点を入れる。
日付・自分がした動作・数値
例:
9/16 午前いっぱい仕様の打合せ、決まったのは1項目
9/17 資料を3本作り直し、提出は22時
9/18 面談2件、うち1件は日程を再調整
「1日ぶんの要約」を書かない。 要約すると「忙しかった」に畳まれ、行数だけあって中身が1行のときと同じになる。件単位で切る。
3. 評価語を消す(5分)
10行を見直し、評価と気分の語に線を引いて消す。対象は「うまくいかなかった」「無駄だった」「モヤモヤした」「頑張った」などである。
×「9/17 資料を3本作り直してしんどかった」
○「9/17 資料を3本作り直し、提出は22時」
消すのは、評価語が入っているとAIがその評価に合わせて話を組み立て、事実のほうを見なくなるためである。「しんどかった」と書くと休息を勧める答えが返り、そこで話が終わる。数値を残せば、3本と22時のほうへ話が向く。
4. 10行を6行に削る(5分)
いま聞きたいことに関係しない行を落とす。残すのは6行である。判断は、その行が答えを変えうるかだけで決める。変えないなら落とす。
6行にするのは、多いほど効くわけではないからである。10行以上貼ると、AIは行の要約から始めてしまい、質問への答えが後ろへ押し出される。
5. 前提6行 → 質問 の順で、1通に貼る(5分)
1つのメッセージに、次の順で書く。
以下は直近7日の事実です。評価は入れていません。
(6行)この6行だけを前提に、(手順1でコピーした質問文)
前提と質問を2通に分けない。 分けると1通目に反応が返り、そこで前提の解釈が固定されることがある。1通にまとめると、6行と質問が同じ文脈で読まれる。
6. 前回の回答と並べ、残った一般論を1つ数える(3分)
新しい回答と、前提なしで返ってきた前回の回答を左右に並べる。見るのは「6行のどれかに触れている文が何文あるか」だけにする。良くなったかどうかは判定しない。
触れている文が0のときは、手順4で落とした行の中に必要な行があったということなので、次回はその1行を戻す。6行を7行にするのはここだけにする。
実際にやると、ここでつまずく
手順2で、7日ぶん書くことが無いように見える。 特別な出来事を探しているとこうなる。探すのは打合せ・提出・連絡・移動といった通常の動作で、カレンダーに入っている予定をそのまま行にするだけでよい。10行に足りないときは、送信済みメールの件名から3行拾うと埋まる。
手順3で、評価語を消すと薄く感じる。 消した後の6行は、自分で読むと味気ない。だが渡す相手は事実しか使えないので、ここで薄く感じるのは正しい。気分の記録が必要なら、貼る用とは別に手元へ残す。
手順5で、質問文をつい直してしまう。 前提を整えた勢いで質問も良くしたくなるが、同時に変えると比較ができない。質問の書き直しは、前提を2回試した後でよい。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
この6行は、作れば毎回効く。面倒なのは毎回ゼロから7日ぶんをたどり直すところである。カレンダーと送信履歴を遡る15分が、週を追うごとに省かれ、また1行の質問へ戻っていく。
固定できる前提(職種や使える時間帯)は設定欄へ置けるが(振り返りの前提をカスタム指示へ固定するで扱っている)、毎週変わる6行は設定欄に置けない。置き場所は自分の側に要る。
LifeOSは、対話を通じて自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りで更新していく日本語のサービスである。上の手順との関係でいうと、その週の出来事を残す工程がサービス側に置かれているため、次に何かを相談するときに6行を探し直さずに済む。一方で、AIが代わりに答えを決めるサービスではなく、採るかどうかは項目ごとに本人が決める。前提の作り方自体は紙でもメモ帳でもできるので、まず1回試して、2回目に材料を探す時間が惜しくなったときに置き場所を考えれば十分である。
AIを振り返りに使うときの全体像はAIジャーナリングとはにまとめてある。
よくある質問
前提は毎回書くものですか。1回書けば覚えてくれませんか
同じ会話の中では引き継がれるが、会話を分けると渡し直しになる。半年変わらない情報は設定欄へ置き、毎週変わる6行は毎回貼る、と分けると手数が減る。6行は作るのに15分かかるが、2回目以降は前の週の6行を1行ずつ入れ替えるだけになる。
事実だけだと、本当に聞きたい悩みが伝わらないのではありませんか
悩みは質問文のほうに書く。前提の6行と質問文は役割が違い、6行は判断の材料、質問文は聞きたいことである。分けておくと、AIが気分に合わせて話を組み立てるのを避けつつ、聞きたいことは伝わる。
6行にしても一般論が返るときは、どうすればいいですか
回答の中で6行のどれにも触れていない文が多いなら、6行の粒度が粗い可能性が高い。「打合せをした」ではなく「決まったのは1項目」のように、結果の数値が入った行を2行足すと変わりやすい。それでも変わらない場合は、質問文の型を変える段階である。
