モチベーショングラフをAIと作る。山と谷の理由だけを聞いてもらう

2026-10-01 | blog

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モチベーショングラフとは、過去の一定期間について「気力の高さ」を折れ線で描き、線が上がった点と下がった点だけを取り出して、その前後に何があったかを確かめるための1枚の図である。 出来事の記録ではなく、変化のあった時点を見つけるための道具なので、線そのものの正確さは問題にならない。この記事で扱うのは、線を自分で引き、山と谷の各点について対話型AIに理由を質問させ、最後に繰り返している条件を1つ取り出すまでの60分である。必要なのは紙1枚と対話型AI1つだけである。

描いたあと、何も出てこないことがある

就職活動の資料や自己分析の本で紹介される手順どおりに、横軸を年、縦軸を気力にしてグラフを描く。山が3つ、谷が2つできた。そこまでは10分で終わる。ところが次に「この経験から分かった自分の強みを書きましょう」と続いていて、そこで手が止まる。谷の時期はつらかった、山の時期は楽しかった、という以上の言葉が出てこない。

線は描けているのに言葉が出ないので、グラフの描き方が悪かったのだと思って描き直す。縦軸の目盛りを10段階に変えたり、期間を10年に延ばしたりする。それでも結果は同じで、最後は「自分には語れるような経験がない」という感想だけが残る。

線を引く作業と、理由を言う作業は別の作業である

このとき起きているのは、材料不足ではなく工程の混在である。線を引く作業は、記憶の中の強弱を思い出す作業で、感覚だけでできる。一方、山と谷の理由を言う作業は、その時点の前後3か月に何が変わったかを1つずつ確認する作業で、思い出す対象がまったく違う。

1枚の紙の上で続けてやろうとすると、後者の作業に入った瞬間に「強みを言わなければならない」という要求が混ざる。すると、思い出す作業をやめて、それらしい言葉を探し始めてしまう。ここで詰まるのは意欲の問題ではなく、2つの作業を分けていないという形式の問題である場合がある。

そこで、線は自分で引き、理由を確認する作業では、質問を出す役をAIに渡す。AIの担当は質問だけで、解釈も要約もさせない。自分の役割は、聞かれた質問に事実で答えることだけになる。

手順(60分・LifeOSなしで実行できる)

1. 期間を決める(5分)

対象期間を5年以内に決める。学生なら入学から現在まで、社会人なら直近5年でよい。10年以上にすると、山谷の数が増えて次の工程が終わらない。紙を横向きに置き、左端に期間の開始、右端に今日を書く。

2. 線を引く(10分)

縦軸の目盛りは書かない。上ほど気力が高い、というだけを決め、期間の左端から右端まで、一息で折れ線を引く。数値化しないのが要点である。引き終えたら、線の向きが変わっている点に丸を付ける。丸は合計で5〜8個になるように選ぶ。10個を超えたら、変化が小さいものを外す。

3. 各点に日付と一行だけ書く(10分)

丸を付けた点それぞれに、「いつ頃か(年と季節でよい)」と「そのとき自分がしていたこと」を一行書く。理由はまだ書かない。「2024年春・週3でアルバイト」のような、状態の記述にとどめる。

4. AIに質問役を頼む(20分)

対話型AIを開き、次のように頼む。

これから、私が作ったモチベーショングラフの変化点を1つずつ渡します。あなたの役割は質問だけです。各点について「その前の3か月と後の3か月で、生活の中で変わったこと」を確かめる質問を、1点につき2問だけしてください。私の性格や強みの分析、まとめ、アドバイスは書かないでください。私が答えたら、次の点に進んでください。

そのうえで、3で書いた一行を1つずつ貼る。返ってきた2問に、事実だけで答える。「やる気が出た」は事実ではないので、「担当が1人から3人に増えた」「通学時間が90分から20分になった」のように、外から見て確認できることに言い換える。答えられない質問は「覚えていない」と返して次へ進む。5〜8点すべてを終える。

5. 自分で1つだけ取り出す(15分)

AIの画面を閉じ、紙に戻る。各点の答えを見比べて、2回以上出てきた条件を探す。「人数が増えたとき」「決める役が自分に来たとき」「移動時間が長い時期」など、同じ言葉が2回以上出ていれば、それが今回の収穫である。1つ選んで紙の余白に書く。3つも4つも取り出さない。何も重なっていなければ「今回は重なりなし」と書いて終える。それも結果である。

このとき、AIに「まとめて」と頼まないこと。頼むと、こちらが答えた事実より一般的な表現に置き換わり、自分の言葉が消える。AIへの依頼の書き方そのものはAIジャーナリングの全体像に整理してある。

実際にやると、ここで崩れる

崩れるのはほぼ手順4である。AIは質問だけを頼まれても、3〜4点目あたりで「ここから見えるのは…」と分析を混ぜ始めることが多い。放置すると、以降は自分がその分析に同意するか否かを答える形になり、事実を思い出す作業に戻れなくなる。対処は単純で、分析が混ざった時点で「質問だけにしてください」と1行返し、同じ点をもう一度質問させる。この差し戻しが、5〜8点のうち2〜3回は起きる。

もう1つは、谷の点で答えが止まることである。谷の前後は生活が荒れていて記録も記憶も薄い。ここは無理に掘らず「覚えていない」で通してよい。谷を全部説明できなくても、山側の重なりだけで1つは取り出せる。なお、線を引かずに切り替わった時点だけを並べたい場合は、自分年表の作り方のほうが工程が短い。

落ち込みが長く続くようなら、この作業自体を途中でやめてよい。過去を並べる作業は、体調がいい週に回せる種類の作業である。気持ちの整理を人に聞いてもらいたい場合は、相談先を探すほうが早いこともある。

1回やって、そのあとどうするか

この手順で取り出せるのは、過去5年のうち2回以上重なった条件1つである。ただし、それが今も当てはまるかは分からない。5年前の条件が今週の自分に効いているかは、これからの週を見ないと確かめられない。かといって、毎週モチベーショングラフを引き直すのは重すぎる。

LifeOSは、この「1つ取り出した条件」を置いておく側の道具である。AIとの対話で自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りで、その言葉が今週の出来事と合っていたかを確かめる。合わなければ書き換える。過去の1枚を作り直すのではなく、取り出した1行を毎週の材料と突き合わせていく形になる。価値観を言葉にする手順自体は価値観の見つけ方にまとめてある。

グラフから取り出した1行を持っているなら、それを最初の材料にして3分だけ試せる。 → LifeOSを試す

よくある質問

モチベーショングラフは何年分描けばいいですか

5年以内を目安にすると、変化点が5〜8個に収まって手順4が1回で終わる。就職活動用に長い期間を求められている場合でも、まず直近5年で1枚作り、必要なら同じ手順を前の5年に対して別の紙で行うほうが、1枚に詰め込むより答えが出やすいことがある。

AIに強みや適職まで分析してもらってはいけないのですか

してはいけないわけではないが、この手順の中では分けている。理由は、分析が入ると自分が事実を思い出す作業をやめてしまいやすいからである。分析を頼むなら、5点ぶんすべて答え終えて紙に1行取り出したあと、別の会話として始めるほうが、自分の言葉が残りやすい。

グラフに山も谷もほとんどない場合はどうすればいいですか

線がほぼ平らになる期間もある。その場合は、向きの変化ではなく「生活の条件が変わった時点」(引っ越し、担当替え、同居人の変化など)に丸を付けて、同じ手順4に進めばよい。気力の上下ではなく条件の変化を軸にしても、手順の残りはそのまま使える。