振り返りの書き方とは、1週間に起きたことのうち1件を選び、事実・変化・次の1手の3行へ分けて書き並べる作業である。 感想を長く書くことではなく、心当たりを全部書き出すことでもない。3行が埋まった時点で1週間ぶんが完成し、それ以上は書かなくてよい、という形にできる。
この記事では、その3行の例文を7場面ぶん載せ、自分の週を同じ語順へ写し替える手順を書く。所要は初回20分、2回目以降は5分前後である。道具は手元の紙かメモアプリ1つでよく、欄を増やす必要はない。1回分の枠の作り方と続け方は振り返りノートの書き方にまとめている。
書き出しの1行目で止まり、検索して例文を探している
日曜の夜、1週間を振り返ろうとしてノートを開く。書くこと自体は決めていたのに、1行目が出てこない。「今週は」と書いて、その後に続く言葉が選べない。忙しかった、と書くと嘘ではないが、来週読んで何の役にも立たないことは自分で分かる。
そこで「振り返り 書き方 例文」と検索する。出てくるのは欄の名前や質問リストで、埋めるべき場所は分かるが、その欄に入る完成した文が見つからない。欄名が「よかったこと」だと分かっても、何文字でどんな語順で書けば後から読めるのかは、見本がないまま判断することになる。
結果として、書くたびに文の形が変わる。ある週は3行、ある週は10行で、語尾も混ざる。4週たってから読み返すと、形がそろっていないので比べられない。書けなかったのではなく、毎回ゼロから文を設計していただけである。
1行目が出ないのは、文の役割を決めていないから
文が出てこないとき、原因は語彙や文章力ではなく、その1行に何をさせるかが決まっていないことが多い。1行で状況説明と感想と反省を同時にやろうとすると、どれから書くかを選ぶ判断が先に発生する。判断が発生する場所で手は止まる。
逆に、1行目は事実だけ、2行目は前と比べて変わった点だけ、3行目は次に1つだけやること、と役割を分けておけば、書く前に選ぶものは「どの出来事を題材にするか」の1つだけになる。文の形は例文からそのまま借りられるので、設計の手間が消える。
振り返り全体の準備・所要時間・進め方は週1回の振り返りのやり方にまとめてある。本記事はその中の「実際に何と書くか」という1点だけを扱う。
3行の型と、場面別の例文7つ
型は次の3行で固定する。番号と語順を変えない。
- 事実: いつ・何を・どうしたか。数か固有の対象を1つ入れる。
- 変化: 前の週や前回と比べて違った点。「前は〜、今回は〜」の形。
- 次の1手: 来週やることを1つだけ。動詞で終える。
以下は架空の一般的な場面で作った例文である。自分の職種や生活に合うものを1つ選び、語順を真似る。
仕事が前に進んだ週
- 火曜に資料の構成を1枚に書き直し、水曜の打ち合わせでそのまま使った。
- 前回は当日の朝に作り始めたが、今回は前日に形ができていた。
- 来週も打ち合わせの前日に構成だけ1枚作る。
うまくいかなかった週
- 木曜に提出予定だった見積りが金曜の夕方になった。
- 前の週は依頼が来た日に着手していたが、今週は2日空けてから始めた。
- 依頼が来た日に、所要時間だけ見積もってカレンダーへ置く。
忙しくて記録が飛んだ週
- 月曜から水曜まで記録なし。木曜に3日分をまとめて2行書いた。
- 前は飛んだ週をそのまま空けていたが、今回はまとめて1回書いた。
- 飛んだ日は「なし」と1語だけ書いて閉じる。
体調が整わなかった週
- 水曜と木曜は21時に作業をやめ、残りを金曜へ回した。
- 前の週は遅くまで続けて翌日に影響したが、今週は前倒しにした。
- 21時を終了時刻として、作業の並び順を先に決める。
人と話して考えが変わった週
- 金曜に同僚と30分話し、担当範囲の線を引き直した。
- 以前は自分だけで抱えていた部分を、今回は相手に渡した。
- 渡した範囲を一覧に書き、月曜に相手へ確認する。
何も起きなかったと感じる週
- 平日5日とも同じ時間に同じ作業をして、予定の変更はなかった。
- 前の週は割り込みが3件あったが、今週は0件だった。
- 割り込みがない週にまとめてやる作業を1つ決めておく。
やりたいことに手をつけた週
- 土曜の午前に、読みかけの本を1章だけ読んだ。
- 前の月は1度も開かなかったが、今月は2回開いた。
- 土曜の午前を、同じ作業の時間として続けて置く。
どの例文も、1行目に日付か曜日、2行目に「前は〜、今回は〜」、3行目に動詞止めが入っている。この3点だけ守れば、内容が地味でも後から比べられる記録になる。
手順: 自分の1週間を3行へ写し替える(初回20分)
1. 題材を1件だけ選ぶ(3分)
今週のうち、日付が言える出来事を1件選ぶ。大きい出来事でなくてよく、むしろ「火曜の午後にやった作業」程度のほうが1行目が書きやすい。複数思いついたら、いちばん時刻を思い出せるものにする。ここで迷う場合は、カレンダーを開いて予定が入っている日を上から見ていく。
2. 1行目に事実だけを書く(4分)
選んだ出来事を、曜日・対象・動作の順に1文で書く。形容詞と評価語(よかった、ひどかった、など)はこの行に入れない。数が入るなら入れる。「1枚」「30分」「3件」のような数字は、2行目の比較で使える。
3. 2行目に「前は〜、今回は〜」を書く(5分)
前の週、または前回同じことをしたときと比べて違う点を1つ書く。思い出せなければ、前回の記録を1枚だけ開く。開いても分からない場合は、2行目は「比べる材料なし」と書いて先へ進む。ここを空欄にしないのが要点で、空欄にすると次の週も同じ場所で止まる。
4. 3行目に動詞で終わる1文を書く(3分)
来週やることを1つだけ、「〜する」の形で書く。2つ以上書きたくなっても1つに絞る。気をつける、意識する、頑張る、は動作ではないので使わない。曜日か時刻を入れられると、来週その行を見たときに実行できる形になる。
5. 例文と見比べ、3点だけ直す(5分)
書いた3行を、上の例文の同じ場面と見比べて次の3点を確認する。
- 時点: 1行目に曜日か日付が入っているか。
- 主語: 2行目が「前は〜、今回は〜」の形になっているか。
- 終わり方: 3行目が動詞で終わっているか。
3点そろったら終了する。文章として上手いかどうかは見ない。翌週からは手順1〜4だけを5分で行い、この見比べは月1回でよい。
実際にやると、ここでつまずく
いちばん多いのは、1行目に評価語が混ざることである。「火曜の打ち合わせがうまくいった」は事実と評価が1行に入っている。この形で4週書くと、2行目の比較が「うまくいった/いかなかった」の2択に縮んで、差が記録されない。1行目を書き終えた時点で、形容詞を探して線を引いて消すと直せる。
次に多いのが、3行目に2つ書いてしまうことである。「構成を前日に作る、あと見積りも早める」のように並ぶと、翌週どちらを見ればよいか分からなくなる。2つ目は別の紙に書いて、翌週の3行目の候補として置いておく。
3行で足りないと感じる週は、3行で閉じたうえで書き足したい分を同じページの下に書く。ただし3行の位置は動かさない。読み返すときに見る場所が毎週同じであることのほうが、量より効く。欄や1ページの作りそのものを整えたい場合は振り返りノートの書き方が近い。
この書き方で解決しないこと
3行の型は、書き始められない問題と、形がそろわない問題には効く。一方で、何を題材にすべきかという判断は手順1に残っている。毎週同じ作業ばかりを題材に選んでしまう場合は、答える問いの側を用意したほうが早い。問いの並びは週次振り返りの質問リストにある。
また、この型は1週間に1件を扱う形なので、1か月や1年の単位をまとめて見るには向かない。見せない前提で軽く書き続ける運用そのものは自分用の週報の書き方で扱っている。
効果は保証しない。3行にそろえても読み返さなければ記録は残るだけである。自分に合う形かどうかは、4週ぶんたまってから本人が判断するのが順番になる。
LifeOSがこの部分をどう扱うか
LifeOSは、AIとの対話で自分の価値観を言葉にし、週1回の振り返りでそれを更新していく日本語のサービスである。本記事の3行のうち、2行目の「前と比べて変わった点」は、前回の記録が手元に開かれていないと書きにくい。LifeOSでは週次の振り返りの画面に前回ぶんが並ぶため、比較の材料を自分で探す工程が省ける。
ただし本記事の手順は、紙1枚とペンで今日から実行できる。道具を増やす前に、まず3行の形を4週ぶん試すほうが順番として早い。試した結果、比較の材料を出す部分だけ手間が残ると感じたら検討する対象になる。
無料で始められ、カード情報の入力は必要ない。有料プランは月額1,500円(税込)、年額12,000円(税込)である。治療やカウンセリングを提供するサービスではない。
よくある質問
振り返りの例文はそのまま使ってもよいですか
語順と語尾はそのまま借りて構わない。内容は自分の週のものに入れ替える必要がある。例文の出来事をそのまま書き写すと、翌週読んだときに自分の週と対応しないため、記録としては使えなくなる。借りるのは形だけ、と決めておくと迷わない。
3行では短すぎると感じます。もっと書いてもよいですか
書いてよい。ただし3行の位置と順番は固定して、追加分はその下に書く。上限を外すと、書ける週と書けない週で量の差が大きくなり、読み返すときに比べられなくなる。3行は最低限であり、上限ではない。
1週間ぶんを書き忘れたまま次の週になりました
飛んだ週は「記録なし」と1行だけ書いて閉じ、今週ぶんから通常どおり3行書く。遡って思い出して書くと、事実の行に推測が混ざる。推測が入った行は翌週の比較で使えないため、空けておくほうが記録としては正確である。
