マンダラチャートとは、3×3の9マスの中心に主題を1つ書き、周囲の8マスに関連する要素を並べて、1枚で全体を見渡す整理の形式である。 周囲の8マスをそれぞれ新しい中心にして広げると、合計81マスの表になる。
この記事で扱うのは、81マスへ進む前に、9マス1枚を15分で書く手順である。マスを綺麗に埋める方法ではなく、埋まらないマスをどう扱うかを中心に書く。
線を引いた紙の、8マス中3マスで手が止まる
日曜の午前、A4の紙に定規で線を引いて9マスを作る。中心に「来年の目標」と書く。ここまで5分。
次に周囲の8マスへ進む。「健康」「仕事」「お金」と3つは出る。4つ目で止まる。「勉強」と書いてみるが、具体が続かない。残りの5マスを前にして10分座り、紙を裏返して閉じる。
翌週、同じ紙を開くと、前回と同じ3語が入っている。4つ目を考える時間がまた始まり、同じところで止まる。紙に不足があるのではなく、8マスという数が先に決まっていることが、止まり方を作っている場合がある。
埋まらないのは要素が足りないからではなく、中心語の高さと切り口が決まっていないから
マンダラチャートは、1つの主題から8方向に展開する形式である。したがって、中心に抽象的な言葉を置くと、周囲に出てくるのも抽象的な分類になる。「来年の目標」の連想は「健康」「仕事」「お金」であり、この3語はどんな人でも出る。分類は3〜4個で尽きるため、5マス目から先が出なくなる。
さらに、8マスには切り口の指定がない。どの軸で8つに分けるかを自分で決める必要があり、この判断が1マスごとに入る。マスが空白のまま残ると、空白が「自分には要素が足りない」ように見えやすい。実際には、切り口を8つ用意すれば、同じ中心語からでもマスは埋まる。
つまりマンダラチャートが止まるかどうかは、意志や発想力より、中心語をどの高さに置き、8マスにどの切り口を割り当てたかで変わる。価値観を言葉にする全体の流れは自分の価値観の見つけ方にあり、この記事はその手前で1枚に広げる形式を扱う。
手順: 9マス1枚を15分で書く
1. 中心に「直近3か月の事実」を置く(2分)
中心に書くのは、理想像や年間目標ではなく、すでに起きた事実にする。次のどれかで選ぶ。
- 先月いちばん時間を使った活動を1つ
- 直近3か月で、自分で決めて始めたことを1つ
- 今週いちばん気が重かった予定を1つ
「来年の目標」のような未来の言葉を中心に置くと、周囲に出るのは願望の分類になり、4マス目で止まりやすい。事実を中心に置くと、8マスに入る材料は記憶から直接出る。
2. 8マスに切り口をあらかじめ書く(3分)
要素を考える前に、8マスの枠外に小さく切り口を書き込む。次の8つを使う。
- 人(関わった相手)
- 時間(かかった時間、時間帯)
- 場所(どこでやったか)
- お金(かかった費用)
- 体(疲れ方、睡眠への影響)
- 学び(分かったこと)
- 気分(やる前と後の違い)
- やめたこと(これのために手放したもの)
切り口を先に置くと、マスは「考えて埋める場所」ではなく「質問に答える場所」になる。自分用の切り口に差し替えてもよいが、8つそろえてから書き始める。
3. 各マスに1語か1文だけ入れる(7分)
1マスにかける時間は50秒程度である。長い文は書かない。「人: 経理の担当2名」「時間: 平日の夜、合計6時間」のように、数と固有の名詞を優先する。
埋まらないマスは空白のまま残し、右下に小さく日付だけ書く。空白は失敗ではなく、その切り口では今まとまっていないという記録になる。全部埋めようとして一般論(「成長できた」など)を入れると、読み返しで使えない行が増える。
4. 1枚を読み返して、2語に印をつける(3分)
8マスを順に読み、引っかかった語に印を2つだけつける。基準は「来月も同じ選び方をするか」である。評価はせず、印の数も増やさない。
印をつけた2語を紙の端に書き写す。これが15分の出力である。目標の文に変える必要はない。
5. 1週間後に同じ中心語でもう1枚書く(15分)
翌週、中心語を変えずに2枚目を書く。空白のまま残ったマスが、2枚目で埋まるかどうかを見る。2枚目でも空白なら、その切り口は今の自分の関心から外れていると扱ってよい。
3枚書いた時点で、空白の位置がほぼ同じであれば、それが1枚では分からなかった傾向になる。週1回の見直しに組み込む手順は週1回の振り返りのやり方にある。
実際にやると、ここでつまずく
いちばん多いのは、1枚目のあとすぐ81マスへ広げようとすることである。8マスをそれぞれ中心にすると、書く量は8倍になる。9マスが15分なら、81マスは単純計算で2時間である。1枚目で空白が残っている状態で2時間の作業を始めると、途中で止まった紙が1枚増える。
次に多いのが、マスの大きさをそろえる作業に時間を使うことである。定規で線を引き直し、文字の大きさを調整すると、紙は綺麗になるが材料は増えない。線はフリーハンドでよく、マスの大きさが不均等でも読み返しに影響しない。
もう1つは、空白のマスを一般論で埋めることである。「気分」のマスに「前向きになれた」と書くと、翌週に読んでも何が起きたか分からない。空白のほうが情報として残る。
3〜4枚書いたあとに起きるのは別の詰まりで、毎回ちがう中心語を選んでしまうことである。中心語が毎回変わると、空白の位置を比べられなくなり、1枚ごとの感想で終わる。中心語は3枚まで固定し、変えるときは紙の裏に日付を書いておく。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
続けにくいのは、1枚ごとに完結してしまい、紙どうしがつながらないところである。印をつけた2語は1枚の端に残るが、2枚目を書くときに1枚目は手元にない。結果として、空白の位置を比べるという本来いちばん効く工程が飛ばされやすい。
もう1つは、15分を確保する場所の問題である。紙と定規を広げるのは机が空いている日に限られやすく、2週間空くと前の紙がどこにあるか分からなくなる。
LifeOSは週1回の振り返りを前提にしていて、前の週に出た言葉を踏まえた問いが次の週に出る形になっている。紙でいえば「前回の2語」と「前回の空白」が次の回の入口として渡される部分がここに当たる。9マスを手で書く自由さは紙のほうが大きいため、置き換えるものではなく、1枚ずつで途切れる部分を週単位でつなぐ位置にある。
紙1枚に15分かけるのが重い場合は、週1回ぶんの短い問いから試す形もある。LifeOSを3分だけ試すと、前の週の言葉が次の週にどう使われるかは見える。
目標を立てても動かない状態が続いている場合は目標を立てても続かないときの、目標を減らす手順、もっと長い期間の構想を描きたい場合はライフビジョンの作り方に、それぞれの手順がある。
よくある質問
81マスまで書かないと意味がありませんか
9マス1枚でも、空白の位置という出力は得られる。81マスは8つの要素それぞれを分解する形式で、分解する対象が決まっている段階で有効になりやすい。1枚目で空白が多い場合は、81マスに進むより、同じ中心語で9マスを3枚書くほうが比べられる材料が増える。
中心には目標を書くのが普通ではないのですか
解説では目標や達成したいことを中心に置く形がよく紹介される。この記事で事実を中心に置くのは、8マスが埋まらない状態から始める場合に、記憶から直接出る材料を使うためである。目標を中心に置く形が合う場合は、その形で進めてかまわない。
空白のマスが毎回同じ場所に残るときはどうしますか
その切り口を今回は使わないと決めて、別の切り口に差し替える。たとえば「お金」が3枚連続で空白なら、「道具」や「移動」に替える。空白が残ったこと自体を問題として扱う必要はなく、8つの切り口は自分の活動に合わせて入れ替える前提のものである。
