3つの違いは期間の長さではなく、「何を材料にするか」と「何を決められるか」である。 週次は出来事を材料に次の一手を決め、月次は週次の出力を材料に配分を決め、年次は月次の出力を材料に方向を決める。
この記事で扱うのは、同じ問いが3つの頻度で重ならないように割り振り、それぞれの所要時間の上限を決める手順である。所要は30分。3つすべてを今すぐ始める必要はない。
月末に振り返ろうとして、週次と同じことを書いている
週1回の振り返りを続けていて、月末に「今月の振り返り」もやってみようとする。ノートを開いて「今月はどうだったか」と書き出す。すると出てくるのは、直近の1週間の出来事ばかりである。3週間前のことは思い出せない。
仕方なく週次の記録を見返す。今度は情報が多すぎて、どれを月次に書けばいいのか分からない。結局、週次に書いたことを短くまとめ直したものが月次のページにできる。これを2か月やると、月次をやる意味が感じられなくなって止まる。年末にも同じことが起きる。「今年を振り返る」と書いて、思い出せるのは11月と12月だけである。
ここで起きているのは、3つの頻度に同じ問いを使っていることである。「どうだったか」「何がよかったか」は、どの頻度でも成立してしまう問いなので、使うと必ず内容が重なる。
重なるのは、材料の指定をしていないから
頻度ごとに違うのは、手元に置ける材料である。整理すると、こうなる。
| 頻度 | 材料にするもの | 決められること | 所要の目安 |
|---|---|---|---|
| 週次 | この1週間の出来事・予定表・メモ | 次の1週間の一手(4〜5件) | 10〜15分 |
| 月次 | 週次で出した一手(4〜5件×4週=16〜20件) | 時間の配分(増やす/減らす領域) | 20〜30分 |
| 年次 | 月次で出した配分の変化(12回ぶん) | 方向(やめること・始めること) | 60〜90分 |
ポイントは、下の頻度は、ひとつ上の頻度の出力だけを材料にするところである。月次で出来事を思い出そうとするから思い出せないのであって、材料が「週次に書いた一手の一覧」であれば、思い出す作業そのものが発生しない。年次も同じで、1年分の出来事ではなく、月次に12回書いた配分だけを見る。
この順番が崩れると、どの頻度も「思い出せない」で止まる。週次の実行手順そのものは週1回の振り返りのやり方にまとめてある。
手順: 問いを重複させずに割り振る(30分)
1. 3行で、材料の指定だけを先に書く(5分)
紙に3行書く。
- 週次の材料 =(例: 手帳の予定欄とスマートフォンの写真)
- 月次の材料 =(例: 週次ページの「次の一手」欄だけ)
- 年次の材料 =(例: 月次ページの「増やす/減らす」欄だけ)
ここで重要なのは、月次と年次の材料を自分の記憶以外にすることである。記憶を材料にすると、直近の数日に偏る。
2. 頻度ごとの問いを1つずつだけ決める(10分)
問いは1頻度に1つで足りる。重ならない形にするには、問いの中に材料の名前を入れる。
- 週次: 「この1週間で、来週に持ち越すものは何か」
- 月次: 「先月の一手16〜20件のうち、実際に動いたのはどの領域か。増やす領域と減らす領域はどれか」
- 年次: 「12回の『増やす/減らす』で、同じ領域が何回出たか。やめることを1つ、始めることを1つ書くなら何か」
問いに材料の名前が入っていれば、材料を開かずに書き始めることがなくなる。
3. 所要の上限を決めて、終わりの条件を書く(5分)
上限は前節の表の目安でよい。終わりの条件は、時間ではなく出力の個数で書く。週次なら一手4〜5件、月次なら増やす1領域・減らす1領域、年次ならやめること1つ・始めること1つ。個数で終わりを決めると、時間が余っても不足しても判断が揺れない。
4. 置く日を決める(5分)
週次は曜日で固定する。月次は「月末」ではなく第1週の週次と同じ回に足す形が崩れにくい。月末は忙しい時期と重なりやすく、しかも月末だけ別作業になるためである。年次は、12月下旬か1月上旬のどちらか1日を先に押さえる。
5. 1周だけ回して、重なりを消す(5分+実施分)
最初の月次を実施したあと、週次のページと月次のページを並べて読む。同じ文が両方にあったら、月次側から消す。月次に残すのは、週次の文の要約ではなく「領域の名前と、増やす/減らすの判断」だけである。
月次の具体的な進め方は月次の振り返りのやり方、四半期を挟む場合は四半期の振り返りに手順を分けて書いた。
実際にやると、ここでつまずく
手順2で、月次の問いを「今月の成果は何か」にしてしまうことがある。この問いは材料の指定がないので、記憶から書くことになり、週次と重なる。問いを直すときは、その問いに答えるために何を開くかが一文の中にあるかを確認する。
手順4でよく崩れるのは、月次を月末に置いた場合である。月末が繁忙期と重なった月に1回飛ぶと、翌月の年次材料に穴が空き、さらに次の月で「先月ぶんも一緒にやる」ことになって所要が倍になる。倍になった月でもう一度飛ぶと、そこで終わる。第1週の週次に足す形にしておくと、飛んでも週次の回に戻れる。
年次でつまずくのは、12回の月次が揃っていない状態で年次をやろうとすることである。3回ぶんしかなければ、年次の問いは成立しない。その場合は「3回ぶんでの振り返り」として所要を20分に下げ、やめること・始めることを1つずつ書く形に縮めたほうが、形としては整合する。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
続けにくいのは、上の頻度が下の頻度の在庫に依存するところである。週次が3回飛ぶと月次の材料が足りず、月次が飛ぶと年次の材料が足りない。1か所の欠けが下流に伝わる構造なので、忙しい月を1回挟むと、立て直しに数か月かかる。
もう1つは、週次の出力を月次が開ける形で残す作業が、週次の中に乗ることである。あとで使う前提で書く手間が毎週かかるため、週次の所要が10分から15分へ、15分から20分へと伸びていく。伸びた時点で週次が飛びやすくなる。
LifeOSは、週1回の振り返りを前提にしていて、その回で出た言葉がそのまま次の回の材料として扱われる。前の週に出た言葉を踏まえた問いが出る形なので、「あとで使えるように書き残す」作業を週次の中で別に行う必要が小さくなる。月次・年次に相当する間隔で何を見るかも、過去の回の蓄積から出る問いとして扱われる。
3つの頻度を自分で配分する前に、週1回ぶんがどういう形で残るのかを見ておきたい場合は、LifeOSを3分だけ試すと分かる。
よくある質問
3つとも始めたほうがよいのですか
順番としては週次が先である。週次が4回たまって初めて月次の材料が揃うため、週次が安定していない段階で月次を始めると、材料がない状態で書くことになる。年次は月次が数回たまってからで足りる。この記事の手順1〜4は、3つを同時に始めるためのものではなく、重ならない形を先に決めておくためのものである。
四半期の振り返りも入れるべきですか
入れる場合は、月次と年次の中間として「3回ぶんの月次を材料にする」形にすると重ならない。ただし頻度を4つに増やすと、それぞれの材料と問いを4通り管理することになる。週次・月次・年次の3つが1周するまでは、増やさないほうが崩れにくい。
月次と年次で同じ領域の話が出てくるのは重複ではないのですか
同じ領域が出ることは重複ではない。重複になるのは、同じ文が両方に書かれている場合である。年次側に書くのは、月次で何回その領域が出たかという回数と、それを受けてやめる/始めるの判断であり、月次側の記述とは出力の種類が違う。
