紙とアプリの違いは、書き始めるまでの手数と、あとから読み返すときの探しやすさのどちらを優先するかという違いである。 どちらが優れているかという答えはないが、前に続かなかった理由が分かっていれば選択は1つに決まる。この記事では道具を先に決めずに、止まった位置から決める手順を扱う。
道具を変えるたびに、最初の3日だけ書いて止まる
ノートを買って3日書く。空白のページを見て気が重くなり、次はアプリに移る。アプリでも3日書いて、通知が来ても開かなくなる。しばらくしてまたノートに戻る。この行き来を何度か繰り返すと、道具のせいなのか自分のせいなのか分からなくなる。
書店やアプリストアで比較記事を読んでも、「紙は思考が深まる」「アプリは検索できる」といった一般論が並ぶだけで、自分がどちらで止まったのかは書いていない。結果として、次もまた道具を買うところから始める、ということが起きる。
止まる位置は2つしかなく、位置によって選ぶ道具が逆になる
続かなかった記録を思い出すと、止まった位置は大きく2つに分かれる。
1つは書き始める前である。開くのが面倒、何を書くか決まらない、机に座るまでが遠い。この場合に効くのは、開くまでの動作が少ない道具である。ポケットのスマホは動作2つ、引き出しのノートは動作5つということが起きるが、逆に「アプリを開くと他の通知が目に入って離脱する」なら紙のほうが動作が少ないこともある。数えるまでは分からない。
もう1つは書いたあとである。書けてはいるが、書いたものを一度も読み返さず、溜まっただけで意味を感じられなくなる。この場合に効くのは、あとから探せる道具である。日付や語で引ける形のほうが読み返しに届きやすい。
ここで起きているのは意志の問題ではなく、止まる位置を確かめずに道具を選んでいるという形式の問題である。順番を逆にして、止まる位置を先に1つ決め、それに対応する道具を選ぶ。
手順: 止まる位置を決めて、1週間だけ片方に固定する(初回20分+1週間)
用意するのは紙1枚と、いま手元にある道具(ノートでもスマホのメモでも構わない)である。新しく買わない。
1. 前回続かなかったときの止まり方を、1行で書く(5分)
紙に1行だけ書く。「開くのが面倒で書かなかった」か、「書いたが読み返さなかった」のどちらに近いかを選ぶ。両方に思い当たる場合は、より最近のほうを選ぶ。両方書くと次の判定ができない。
2. 選んだ側に対応する道具を1つだけ決める(5分)
判定は次の1行で足りる。
開く前で止まっていた → 開くまでの動作が少ないほう
書いたあとで止まっていた → 日付や語で探せるほう
動作の数は想像せずに数える。紙なら「引き出しを開ける・ノートを出す・ペンを探す・開く」で4つ、スマホなら「取り出す・ロック解除・アプリを開く」で3つ、といった具合である。数えた結果が意外な側になることがあるので、ここは実際に手を動かして数える。
3. 1週間だけその道具に固定し、書いた日に印を付ける(1週間)
紙の隅に7日分のマスを作り、書いた日に印を付ける。内容は1行でよく、書く量は判定に関係しない。この1週間は道具を変えない。途中で書けない日があっても道具は動かさない。
4. 7日目に、マスの数だけを見て続けるか替えるかを決める(10分)
判定は数だけで行う。
3日以上印が付いた → その道具で続ける
2日以下 → もう一方に替えて、同じ1週間をもう一度やる
替えるのは1回までにする。2周やって両方2日以下だった場合は、道具ではなく頻度の問題なので、毎日書く前提をやめて週1回に落とすほうが先になる。
5. 併用する場合は、1つだけ役割を決める(5分)
両方を使いたい場合は、片方を「書く場所」、もう片方を「読み返す場所」にする。同じ内容を両方に書くと2倍の手数になって止まるため、書く場所は必ず1つに決める。紙に書いて写真をスマホに残す、という形でも足りる。
この手順の続けにくいところ
手順1で「両方に思い当たる」と感じて止まる人が多い。実際、開くのも面倒で読み返しもしていない、という状態はよくある。この場合はより最近のほうを機械的に選ぶ。正確に選ぼうとして時間をかけると、手順2に進む前に終わってしまう。
もう1つは、手順3の1週間で新しい道具を試したくなることである。固定した道具が合わない気がしてくるが、途中で替えると7日目の数が読めなくなる。7日は待つ。
また、印が3日以上付いても「思っていたのと違う道具に決まった」ことが落ち着かない場合がある。この手順は好みを反映するものではなく、止まりにくいほうを選ぶだけのものである。半年後に同じ手順をやると結果が変わることもある。
LifeOSでは、道具を選ぶ前の「読み返す形」が先に決まっている
紙でもアプリでも、書いたあとに読み返す形を自分で作るのは重い。LifeOSは週1回の振り返りを前提にしていて、その週に書いたものが振り返りの材料として出てくるため、読み返す工程を別に用意しなくてよい。書いたあとで止まっていた場合は、この形が近いことがある。
日々の記録は手元の紙でもよく、週1回だけLifeOSを開くという分け方もできる。書く場所を1つに決めるという手順5の条件は、この分け方でも満たせる。効果を保証するものではなく、診断・治療・カウンセリングを提供するサービスでもない。
まずはLifeOSで3分ほど試して、週1回だけ開く形が合うか確かめてみてほしい。
そもそも毎日書く前提から見直す場合は振り返りが続かないのは意志の問題ではないが全体像になる。書かない日の扱いは日記が続かない人のための「書かない日を設計する」方法、アプリが複数あって散っている場合は記録アプリが続かないときの、アプリを減らす判断のほうが近い。
よくある質問
紙とアプリ、どちらのほうが続きやすいのですか
道具の側に一般的な優劣はない。続きやすさは、前に止まった位置と一致しているかで変わる。開く前で止まっていた人が検索性の高いアプリを選ぶと、開くまでの動作が増えて同じ位置で止まることがあるため、判定は自分の止まり方から行う。
1週間やって印が3日でした。少ない気がします
この手順では3日を続行の基準にしている。毎日書けている状態を目標にしていないため、3日で足りる。7日書けることを基準にすると、書けなかった4日を失敗として数えることになり、道具の判定とは別の負荷が増える。
手書きのほうが記憶に残るという話は関係ありますか
この手順では扱わない。判定に使うのは、書いた日数と読み返せたかどうかだけである。書き方の効果を比べようとすると1週間では分からないため、まず止まらない道具を1つ決めることを先に置いている。
