YWTのやり方。KPTとの使い分けと、個人で使うときの注意

2026-09-22 | blog

目次

YWTとは、Y(やったこと)・W(わかったこと)・T(次にやること)の3欄を、この順に1本道で埋める振り返りの型である。 3つを並列に埋めるのではなく、Yから出たものだけをWに、Wから出たものだけをTに通す。この記事で扱うのは、個人が1人でYWTを1回回すときの記入手順と、止まりやすいWの書き方だけである。所要は20分、紙1枚でできる。

型を複数比べて自分に合うものを選ぶ段階なら振り返りフレームワーク5種の使い分けのほうが先である。この記事は選び終わってYWTに決めた前提で、記入の工程だけを書く。

Wの欄で10分止まり、結局Yの言い換えを書いて終わる

金曜の夜、紙に3つの欄を作る。Yは書ける。やったことは思い出せるからだ。

次のWで手が止まる。「わかったこと」と言われても、今週わざわざ学んだ実感がない。10分粘って、結局「打ち合わせが多いとわかった」と書く。これはYの言い換えで、わかったことではない。

Wが埋まらないのでTも書けず、「来週もがんばる」と書いて閉じる。3欄のうち2欄が実質白紙のまま、形だけ終わっている。2回目からは、Yだけ書いて下2つを飛ばすようになる。

止まるのは学びが足りないからではなく、Wの判定基準が決まっていないから

Wが埋まらない理由は、その週に学びが無かったからではない。「何をもってWとするか」の基準が型の側に書かれていないからである。KPTのKeep・Problem・Tryは、良かった/困った/やる、という日常語で判定できる。YWTのWは「わかったこと」という一語だけで、判定の手がかりが少ない。

そこで、Wに1つだけ基準を置く。「だから次は」という言葉を後ろに付けて、文が続くならW。続かないならWではない。「打ち合わせが多いとわかった」に「だから次は」を付けると続かない。「打ち合わせの前に資料を開くと、話す順番が決まるとわかった。だから次は」なら続く。

この基準を置くと、Wは週に何個も出ない。1回のYWTでWは1行だけでよい。1行あれば、Tは自動的に決まる。

手順: YWTを1本道で埋める(20分・週1回)

紙を横に3分割せず、上から順に3段に分ける。横並びにすると3欄を並列に埋めたくなり、順番が崩れる。

1. Y(やったこと)を動作で3行書く(7分)

カレンダーと送信済みのメッセージを開き、やったことを動作の形で3行書く。多くても3行で止める。

○ 火曜に見積の資料を作り直した
○ 木曜の打ち合わせで先に結論から話した
○ 金曜に週報を後回しにして書かなかった

評価語は入れない。「うまくいった」「反省した」は書かない。やらなかったことも動作として書ける(3行目)。Yの段階で良し悪しを付けると、次のWで自分の評価を書き始めてしまう。

2. 各行に「だから次は」を付けて、続く行を1つ選ぶ(5分)

3行を順に読み、それぞれの末尾に声に出して「だから次は」と付ける。文が自然に続く行に印を付ける。

続く行が複数あれば、いちばん短い文で続いたほうを1つ選ぶ。1つも続かなければ、その週のWは無しにして、手順1の3行だけを残して閉じる。無しで終えてよいことを最初に決めておくと、Wの欄を埋めるための作文が減る。

3. W(わかったこと)を2つの型のどちらかで1行書く(5分)

選んだ1行から、次のどちらかの形でWを書く。型を2つに限定するのが、この手順の中心である。

条件型: 「〜のときは、〜になる」
想定差型: 「〜は、思っていたより〜だった」

例を挙げる。「木曜の打ち合わせで先に結論から話した」からは、条件型で「結論から話すときは、質問が具体的になる」。想定差型なら「先に結論を言うのは、思っていたより抵抗が少なかった」。

どちらの型にも入らない文は、Wではなく感想である。感想は紙の端に書いてよいが、Tには通さない。

4. T(次にやること)を、Wの1行から1つだけ書く(3分)

Wの行を見て、次の週にやる動作を1つだけ書く。条件を1つ変える形にすると、やったかどうかを判定しやすい。

W: 結論から話すときは、質問が具体的になる
T: 来週の火曜の打ち合わせでも、最初の1分で結論を言う

日付か曜日を必ず入れる。Wから離れた立派な行動を書きたくなったら、それはこの週のTではない。Tの出所はWだけ、というのが1本道の意味である。

5. 次回、Tの行をYの1行目に置く(1分)

翌週の手順1で、先週のTをYの1行目として最初に書き写す。やれていれば動作として書け、やれていなければ「やらなかった」と動作で書ける。どちらでもYの材料になる。

これで毎回のYWTが前回とつながる。独立させると、Tが毎週書き捨てになる。

KPTとの使い分け

同じ3欄でも、判断のさせ方が違う。

KPT: 良かった/困った/やる。評価の軸が先に立つので、出来事を良し悪しで分類する週に向く
YWT: やった/わかった/やる。事実から入って評価を通さないので、良し悪しが判断しにくい週に向く

個人で使うとき、KPTのProblemは自己批判の欄になりやすいことがある。KPTを個人に合わせる注意はKPTを個人の週次振り返りに使う手順と注意点にある。YWTには困ったことを書く欄が無いので、その回路が最初から入らない。

逆に、明確に困っている問題があってそれを扱いたい週は、YWTだと入口がない。Yに書いて「だから次は」を付けても続かず、Wが空になる。週ごとに切り替えてよい。型は固定する必要がない。

実際にやると、ここでつまずく

Yが3行を超える。 書けるときほど超える。超えた週はWの選定に時間がかかり、Tが2つ以上になって次の週に何も残らない。3行で切るのは制約ではなく、Wを1つに絞るための前提である。

手順2で、全部の行に「だから次は」が続いてしまう。 続けようと思えば大抵続く。声に出して読み、言い直しが必要だった行は続かなかった側に入れると判定が安定する。

Wが毎週同じ行になる。 3週続けて同じなら、それはWではなく前提である。紙の上部へ移し、Wの欄からは外す。

Tをやらなかった週に、書くのをやめてしまう。 やらなかった週こそ手順5の材料が濃い。「やらなかった」と1行書くだけでYが埋まる。

Wが無しの週が3週続く。 筆者はこれで一度止めた。原因は手順1の3行が全部「参加した」「対応した」という受け身の動作だったことで、自分が選んだ動作が1つも入っていなかった。Yを書く前にカレンダーではなく送信済みのメッセージから見るようにしたら、選んだ動作が入るようになった。

この手順で解決しないこと

YWTは期間をまたいだ傾向を見ない。1回ごとにWが1行出るだけなので、3か月で同じWが何度出たかは、並べる作業を別にしないと分からない。

また、Wが無しの週が続いたときに、原因を教えてくれる仕組みは型の側に無い。Yの書き方に原因があるのか、その週が実際に変化の少ない週だったのかは、自分で当たりを付けることになる。

そして、先週のTを翌週へ持ち込む作業(手順5)は、毎回自分の手に残る。紙を開いて前の回を探す動作が入るため、ここで止まる回がいちばん多い。

LifeOSはこの部分をどう扱うか

LifeOSは、週1回の振り返りをAIとの対話で進めるサービスである。本人が確認した内容だけが次回以降の前提として残るため、前回のTやWを毎回こちらから説明し直す部分は、この手順の弱いところと重なる。AIが返すのは断定ではなく仮説で、採るか採らないかは項目ごとに本人が決める。

YWTの3欄を用意して型どおりに埋めさせるサービスではないし、Wを代わりに言い当てる機能もない。型を回してみたうえで、前の回とつなぐ部分だけを軽くしたい場合に使い道があることがある。登録なしで3分ほど試せる。

LifeOSを試す

週次の振り返り全体の準備・質問・所要時間は週1回の振り返りのやり方にまとめてある。

FAQ

YWTとKPTはどちらが個人向けですか?

どちらが優れているという関係ではない。困っている問題が具体的に1つある週はKPT、良し悪しが判断しにくい週はYWTのほうが手が動きやすいことがある。週ごとに切り替えてよく、どちらかに固定する必要はない。

W(わかったこと)が毎回思いつきません。書かなくてよいのですか?

書かなくてよい。この手順では、Yの3行に「だから次は」が1つも続かない週はWを無しにして閉じる。Wを毎回埋める前提にすると、Yの言い換えを書く作業になり、そちらのほうが型として崩れやすい。無しの週が続く場合は、Yの3行に自分が選んだ動作が入っているかを見るとよい。

YWTを続ければ成長が実感できますか?

実感できるかどうかは保証できない。この型で確実に残るのは、毎週1行のTと、それをやったかどうかの記録だけである。効果を測りたい場合は、実感ではなく、Tに日付が入った行が何行たまったかを数えるほうが判定しやすい。なお、この記事もLifeOSも、心身の状態を診断・治療・カウンセリングするものではない。振り返るたびに気持ちが沈む状態が続く場合は、型を変えるより先に、話せる相手や医療機関・公的な相談窓口を頼るほうが適していることがある。