月次振り返りのAIプロンプトとは、1か月を思い出して書くための質問文ではなく、すでに残っている週次の記録4回ぶんを材料として渡し、そこから月単位の傾向を取り出させるための指示文である。 材料を用意せずにプロンプトだけを良くしても、返ってくるのは一般的な自己啓発の文章になる。この記事では、渡す材料の作り方と、月次専用の3つのプロンプト、止めどきの決め方を扱う。
月末に「1か月を振り返って」と打ち込んで、手が止まる
週次の振り返りは何とか続いている。月末になったので月次もやろうとして、AIの入力欄に「今月を振り返りたいので質問してください」と打ち込む。返ってくるのは「今月最も成長したと感じた瞬間は何でしたか」といった質問で、答えようとすると1か月前のことが思い出せない。
思い出せる範囲で答えると、直近1週間の話ばかりになる。AIはそれを受けて「今月は挑戦の月でしたね」とまとめる。読み終わって、今月が挑戦の月だったのかどうかも分からないまま画面を閉じる。これが月次振り返りが1回で終わる典型的な流れである。
思い出せないのは記憶力ではなく、材料を渡していないからである
週次の振り返りが成り立つのは、対象期間が7日で、覚えている範囲と一致しているからである。月次で同じやり方をすると、対象期間が4倍になるのに材料は記憶だけのままになる。ここで起きているのは期間を伸ばしたのに入力を変えていないという形式の問題である。
月次で使える材料は、記憶ではなく週次振り返りの記録そのものである。週次を4回やっていれば、その4回ぶんの文字列がすでに手元にある。それを貼ってから質問させれば、AIは思い出す作業を引き受けなくてよくなり、4回ぶんを横に並べる作業だけをする。
もう1つ変えるのは、聞く内容である。月次で意味があるのは「今月どうだったか」ではなく、4回のあいだで変わった点と、4回ずっと同じだった点である。この2つは1週間では見えず、4回並べたときだけ見える。
手順: 週次4回ぶんを材料にして、月次のプロンプトを3つ流す(40分)
用意するのは、この1か月の週次振り返りの記録(4回ぶん、3回でもよい)と、AIの入力欄、それに紙1枚である。
1. 4回ぶんを1つのテキストにまとめる(10分)
週次の記録をコピーして、日付を付けて縦に並べる。書式はそろえなくてよい。長い場合は各回を10行までに切る。切る基準は「その週に自分が決めたこと・やった事実が書いてある行を優先し、感想の行を落とす」である。
【第1週 9/1〜9/7】
(記録を10行まで)
【第2週 9/8〜9/14】
(記録を10行まで)
【第3週 9/15〜9/21】
(記録を10行まで)
【第4週 9/22〜9/28】
(記録を10行まで)
この時点で40行前後になる。足りない週があれば「記録なし」と書いて空けておく。空けておくことに意味があり、後で「記録がない週が2回あった」という事実が読める。
2. プロンプト1: 毎回出てきた語を数えさせる(10分)
まとめたテキストを貼ってから、続けて次の文を送る。
上のテキストは私の週次振り返りの記録を4回ぶん並べたものです。次の2つだけを出してください。
(1) 4回のうち3回以上に出てきた名詞または動詞を、出た回数とともに一覧にする
(2) 1回だけ出てきた語のうち、具体的な場面を指しているものを5つまで挙げる
解釈や助言は書かず、語の一覧だけを出してください。
解釈を禁じているのは、この段階で意味づけをされると次の手順が読めなくなるためである。(1)が1か月の常態、(2)がその月に固有の出来事になる。
3. プロンプト2: 変わった点だけを書かせる(10分)
同じ会話の続きで送る。
第1週と第4週を比べて、記述が変わった点を3つまで挙げてください。
各点は「第1週では〜と書かれ、第4週では〜と書かれている」という形式にし、
記録に書かれていない推測を足さないでください。変化が読み取れない場合は
「変化は読み取れない」と書いてください。
「読み取れない場合はそう書く」を入れておくと、無理に変化を作られる確率が下がる。実際に1か月では変わらないことが多く、「変化は読み取れない」が返ってきたほうが判定としては正しい。
4. プロンプト3: 来月の1つを選ばせずに、候補だけ出させる(5分)
手順2の(1)で3回以上出た語のうち、来月も同じ状態が続きそうなものを2つ挙げ、
それぞれについて「続いて問題ないもの」か「変えたいかどうか私に確認が必要なもの」かを
分類してください。どちらにするかを決めるのは私です。
AIに決めさせないのは、判断材料を持っていないためである。ここまでで出てくるのは候補までで、採否は自分が決める。
5. 紙に3行だけ残す(5分)
出力はすべて残さず、紙に次の3行だけ書き写す。
今月ずっとあった語: ___
今月だけの場面: ___
来月そのままにする1つ: ___
この3行が、翌月の手順1で「先月の分」として使える材料になる。会話そのものは残さなくてよい。
この手順の続けにくいところ
手順1が最も止まりやすい。週次の記録が4回そろっていない月があり、2回しかないと並べる意味が薄くなる。実際にやると、記録が2回以下の月はプロンプト2の「変わった点」がほぼ機能せず、出力が推測で埋まる。その月は手順2だけで止めて、手順3・4を飛ばすほうが早い。
もう1つは、解釈を禁じたはずのAIが助言を書いてくることである。指示を無視されたと感じるが、多くの場合は貼ったテキストのほうに感想が多く含まれている。手順1で感想の行を落とす基準を入れているのはこのためで、それでも助言が混ざるときは「語の一覧以外を削ってもう一度出してください」と1回だけ返す。3回以上やり直すと、元の記録から離れていく。
3つ目は、3行に畳んだあとの物足りなさである。1か月ぶんを読んで3行しか残らないのは少なく見えるが、翌月に材料として使えるのはこの3行だけである。出力を全文保存すると、翌月に読み返す量が2倍になり、そこで止まる人もいる。
LifeOSでは、月をまたいだ材料が週次の側にたまっていく
週次4回ぶんを毎月コピーして並べ直すのは手間がかかる。LifeOSは週1回の振り返りを前提にしていて、対話で出てきた内容がそのまま次の週の材料として扱われるため、月末に材料を作り直す工程を別に持たなくてよい。月次を別作業として立てるのが重い場合には、この形が近いことがある。
AI側に何を渡すかを毎回決めるのではなく、週1回開くと前の週までが材料として並んでいる状態になる。効果を保証するものではなく、診断・治療・カウンセリングを提供するサービスでもない。無料で試す範囲ではカード情報の登録は不要である。
まずはLifeOSで3分ほど試して、週1回の側に材料がたまる形が合うか確かめてみてほしい。
AIを振り返りに使うこと全体はAIジャーナリングとはが全体像になる。AIを使わずに月次と週次を分ける話は月次振り返りのやり方、週単位のプロンプトの選び方は振り返りに使えるAIプロンプト12個のほうが近い。
よくある質問
週次の記録が1回もない月はどうすればいいですか
この手順は使えない。材料がない状態で月次プロンプトを流すと、記憶に残っている直近1週間の話だけで1か月がまとめられる。記録がない月は月次を飛ばし、翌週から週次の記録を1回ぶん残すところに戻したほうが、翌月の材料になる。
月次のプロンプトは1つにまとめられませんか
まとめると出力が長くなり、手順2の語の一覧と手順3の変化が同じ文章のなかで混ざる。分けているのは質を上げるためではなく、途中で止められるようにするためである。手順2まででその月の判定が付く場合は、そこで終えてよい。
AIが出した「変化」が自分の実感と違いました
記録に書かれた範囲での変化であり、実感と一致しないことはある。その場合は出力を採らず、紙の3行には自分の言葉で書く。食い違い自体が、記録に残していない側に何かがある手がかりになることもある。どちらが正しいかを決める必要はない。
