月初の計画とは、その月の終わりに「何をやった月だったか」を言えるようにするために、やることを先に数個へ絞っておく作業である。 予定を埋める作業ではなく、減らす作業に近い。
この記事で扱うのは、先月を3行で書き出してから、今月やることを3つに絞り、週に割り当てるまでの手順である。紙1枚と30分で足りる。手帳の書式を決める話ではない。
1日の朝に書いた「今月の目標」を、月末に一度も見ていない
月初めの朝、新しいページを開いて今月の目標を書く。資格の勉強、運動、部屋の片づけ、読書、副業の下調べ。6つ書いて、少し気分が良くなる。
2週目に入ると、仕事が立て込む。目標のページは開かない。3週目の週末、思い出してページを開く。6つのうち手を付けたのは1つで、しかも最初の1回だけである。
そこで「今月はもう無理だ」と判断し、ページを閉じる。月末、翌月のページに同じ6つを書き写す。先月の6つがなぜ動かなかったのかは、どこにも書かれていない。
これが3か月続くと、月初に書く作業そのものが儀式になる。
月初の計画が動かないのは意志ではなく、先月の事実を見ないまま今月を決める形式になっているから
月初に目標を書くとき、材料として使われているのは願望である。「今月はこうしたい」は、先月何に時間が使われたかを見なくても書ける。だから書くのは速いが、入る量を超える。
もう一つある。月の計画は粒が大きすぎる。「運動する」は、今週の火曜に何をするかまで落ちていない。落ちていないものは予定に入らず、予定に入らないものは起きない。
そして月の途中で崩れたとき、戻る場所が無い。週単位なら「今週はできなかった」で済むが、月単位では「今月はもう無理」になる。残り2週間あっても、判定がすでに終わってしまう形になっている。
だから必要なのは、気合いの入った目標でもきれいな手帳でもなく、先月の事実を材料にして数を絞り、週へ割って、途中で捨てる前提を先に決めておく形式である。目標の数を減らす考え方は目標を立てても続かないときの手順に書いた。
手順: 先月3行 → 今月3つ → 週へ割る
準備するもの: 紙1枚かメモアプリ、先月のカレンダー。所要30分。月半ばに10分の見直しを足す。
手順1: 先月を3行だけ書く(10分)
カレンダーの先月分を開いて、実際に入っていた予定を眺めながら、3行だけ書く。
- 先月いちばん時間を使ったこと(仕事の特定の案件、来客、引っ越しなど)
- やろうとしたのに動かなかったことを1つ
- 予定外に入ってきたことを1つ
「反省」は書かない。評価を書くと、翌月に手順1をやらなくなることがある。事実だけで足りる。月単位で振り返る手順そのものは月次振り返りのやり方にまとめている。
手順2: 3行目から、今月の空き容量を見積もる(5分)
3行目に書いた「予定外に入ってきたこと」が、その月に取られた時間である。来月も同じくらい入ると考えて、最初から空けておく。
先月、予定外で2週末が埋まったなら、今月の計画は2週末分を引いた前提で立てる。ここを引かないまま立てた計画は、予定外が来た時点で崩れる。崩れた原因は量であって、意志ではない。
手順3: 今月やることを3つに絞る(7分)
候補をいくつ書いてもよいが、残すのは3つまでにする。選ぶ基準は2つある。
- 今月のうちに終わる大きさか。「英語をやる」は終わらない。「単語帳を1冊、半分まで」は終わる
- 先月の2行目に入っていたか。2か月連続で動かなかったものは、やりたいことではない可能性がある。その場合は3つから外して、紙の下に「今はやらない」と書いて残す
外したものを消さずに残すのは、翌月に同じ6つを書き写す現象を止めるためである。
手順4: 3つを週に割り当てる(5分)
紙に第1週から第4週まで4つの枠を書き、3つの「やること」をどの週に置くかだけ決める。1週に2つ置かない。1つの週に何も置かない週を作ってよい。
このとき、何曜日の何時にやるかは決めない。月初に曜日まで決めても、その週の事情で動く。週の入口で決めるほうが当たる。週の予定に振り返りや作業を置く方法は週次振り返りを予定に入れるに書いた。
手順5: 月半ばに10分、1つ捨てるか決める(15日前後)
15日ごろにもう一度紙を開き、3つのうち動いていないものを1つ捨てる。捨てる前提を先に決めておくのがこの手順の役割である。
3つ全部が動いていれば、何も捨てない。1つも動いていなければ、2つ捨てて1つに絞る。残り2週間で1つなら終わることが多い。ここで全部を残すと、月末に3つとも中途半端になる。
手順6: 月末に、手順1の3行を翌月分として書く(10分)
月末にやるのは評価ではなく、翌月の材料づくりである。手順1の3行を書けば、それが翌月の手順1になる。これで月初に願望から書き始める形が消える。
1年単位の設計に戻したい場合は年間目標の立て方にまとめている。
この手順が続きにくい点
この手順の弱点は、手順1の材料が月末に手元に無いことである。
カレンダーには予定が残るが、「やろうとしたのに動かなかったこと」はどこにも記録されていない。月末に思い出して書こうとすると、直近1週間のことしか出てこない。月の前半に諦めたものは、諦めたこと自体を忘れている。結果として3行のうち2行目が毎月似た内容になり、材料としての価値が落ちる。
もう一つは、手順5の月半ばである。15日は月初でも月末でもないので、見直しを思い出すきっかけが無い。カレンダーに入れても、その日が忙しければ流れる。そして流れた月は、月末に3つとも中途半端になる。
どちらも、月1回・月2回の作業だけでは拾えない。週に1回、記録を並べる時間が間に入っていないと、月の手順は材料不足で動かなくなる。その型は週1回の振り返りの完全ガイドに書いた。
LifeOSがこの部分をどう扱うか
LifeOSは、AIとの対話で自分の価値観を言葉にして、週1回の振り返りでそれを更新していくサービスである。
上の手順でいちばん落ちやすいのは、手順1の材料である。LifeOSでは週1回の振り返りが同じ形式で積み上がるため、月末に思い出す作業をしなくても、4週分の記録を並べれば「動かなかったこと」がそのまま並ぶ。同じものが2か月続いて出ていれば、手順3で外す判断の根拠になる。
もう一つは、3つに絞るときの基準である。何を残して何を「今はやらない」側に置くかは、その人が何を優先したいかで変わる。LifeOSはそこを対話で言葉にして、週ごとに更新していく形をとる。計画の達成度を採点したり、やるべきことを決めたりはしない。扱えるのは、自分の記録と基準を並べるところまでである。まずは3分の体験から試せる: https://app.lifeos.jp/
優先したいことを先に言葉にしたい場合は自分の価値観の見つけ方にまとめている。
よくある質問
月初の計画は、月の何日までに立てればよいですか?
日付の正解は無い。この記事の手順は先月の記録が手元にあることを条件にしているので、月末に手順6を済ませているなら1日でも立てられる。済ませていない場合は、手順1に10分かかるので3日ごろまでにずれることが多い。1日に間に合わなかったことを理由にその月を諦めない、という進め方をしている人もいる。
やることを3つに絞ると、やりたいことが進みません
3つは「今月のうちに終える大きさで動かすもの」の数である。外したものは消さずに紙の下に残すので、翌月の手順3で候補として戻ってくる。1か月に3つなら1年で36個になる計算で、6つ書いて1つしか動かない月を12回繰り返すより数が多くなる、という見方もできる。
先月のことを思い出せないときはどうしますか?
無理に思い出さず、カレンダーに残っている予定だけを材料にして3行を書く。思い出せない月は「記録が無かった月」として、2行目を空欄にしてよい。空欄のまま次の月に進むほうが、作り話で埋めるより翌月の判断が正確になる。記録が無い状態からの立て直しは、週単位の記録を1週分だけ取ってから月の計画に戻すほうが早いこともある。
