5問目で止まって、リストを閉じる
「自己理解 質問」で検索して、30問や50問のリストが載ったページを開く。上から順に答えていく。1問目「あなたが大切にしている価値観は何ですか」。手が止まる。飛ばして2問目「これまでで最も影響を受けた出来事は何ですか」。また止まる。
答えが無いわけではない。何かは浮かぶのだが、浮かんだものが本当かどうか自分で判断できず、書く前に消えてしまう。5問目あたりでリストを閉じて、また別のリストを探しに行く——この往復を何度かしている人もいる。
止まるのは、抽象度の高い質問が先頭に置かれているから
質問リストは、重要そうな順に並べられていることが多い。価値観、人生の目的、影響を受けた出来事。これらはどれも、答えるために材料が要る質問である。 材料とは、具体的な場面の記憶や、すでに書いた別の答えのことだ。
材料のない状態で抽象度の高い問いに答えると、その場で作文をすることになる。作文だと自分で分かるので、書く前に手が止まる。止まった経験が続くと、質問リストそのものが向いていないという結論になりやすい。
そこで並びを変える。固有名詞で答えられる質問を先に置き、その答えを材料にして、選択・比較・例外の順に上げていく。 抽象度の高い問いは最後に1問だけ置くか、置かなくてもよい。以下の30問はこの順で並べてある。
なお、その週に起きたことを材料に毎週繰り返す質問が要る場合は、目的が違うので週次振り返りの質問リスト20のほうが合っている。こちらは1回で終わる作業である。
質問30(4群・答えやすい順)
第1群: 固有名詞で答える(材料ゼロで答えられる・各1行)
- 直近1か月で、時間を忘れて続けてしまった作業は何ですか
- 最後に自分から誰かに勧めたもの(本・道具・店)は何ですか
- 最近、最後まで読まずにやめた文章は何でしたか
- この1年で買ってよかったと今も思うものは何ですか
- 直近の休日に、予定を入れずに空けておいた時間帯はいつでしたか
- 最後に「これは自分がやらなくてもいい」と思った作業は何ですか
- 人に頼まれていないのに、誰かのために調べたことは何ですか
- 直近で、説明されてもよく分からないまま流したことは何ですか
第2群: 2つのうちどちらかを選ぶ(第1群の答えが材料になる・各1行)
- 準備に時間をかけるのと、始めてから直すのと、どちらが自分に合っていますか
- 人数の多い場と少ない場では、どちらのあとに疲れが残りますか
- 決まった手順がある仕事と、手順から作る仕事のどちらが早く進みますか
- 締切が近いときと遠いときでは、どちらのほうが進みますか
- 誰かに見られている状態と、一人の状態のどちらが集中できますか
- 朝と夜では、どちらの時間帯に決断をしていますか
- 相談されるのと、相談するのでは、どちらが気が重いですか
第3群: 2つを比べて差を言う(第2群の答えが材料になる・各2行)
- 楽しかった仕事と、しんどかった仕事を1つずつ挙げ、違いを1つだけ書いてください
- 続いた習慣と続かなかった習慣を1つずつ挙げ、違いを1つだけ書いてください
- 話しやすい人と話しにくい人の違いを、性格以外の条件で1つ書いてください
- 引き受けてよかった依頼と、後悔した依頼の違いは何ですか
- 自分の説明が伝わった場面と伝わらなかった場面の違いは何ですか
- 集中できた日とできなかった日で、前日の過ごし方はどう違いましたか
- 褒められて嬉しかった言葉と、そうでもなかった言葉の違いは何ですか
第4群: 例外を探す(第3群の答えが材料になる・各2行)
- 第3群で書いた違いが当てはまらなかった例を1つ挙げてください
- 普段は避けているのに、なぜか平気だった場面はありますか
- 苦手だと思っていたが、条件が変われば問題なかったことはありますか
- 得意なはずなのに、うまくいかなかった場面の条件は何でしたか
- 自分の説明と、人からの評価が食い違っている点はありますか
- 5年前の自分なら断っていたが、今は引き受けることは何ですか
- 今の環境が変わっても残りそうな癖は何ですか
- ここまでの答えの中で、書きながら少し抵抗があったのはどれですか
30問すべてには答えない
このリストは、上から順に完走するためのものではない。各群から2問ずつ、合計8問だけ選んで答える。 選ぶ基準は「答えが1つ浮かんだもの」で、浮かばない問いは飛ばす。所要は8問で30分ほどになる。
答え終わったら、8つの答えを通して読み、2回以上出てくる固有名詞・条件・言い回しに印をつける。印がついたものだけを使って、次の形で1文を書く。
自分は( )の条件がそろっているときに( )しやすい。ただし( )の場合は当てはまらない。
文末に日付と、根拠にした質問番号を書いておく。この1文は結論ではなく、その日の材料で作った暫定の記述である。 数か月後に見返して合わなければ、そのときの材料で作り直す。
実際にやると、ここでつまずく
最初にやったとき、第1群は10分で埋まり、第3群で完全に止まった。理由は、第1群で挙げた作業と第3群で比べようとした仕事が別物だったからである。第3群は「第2群までに出た具体物を材料にする」と決めているのに、そこで急に一般的な仕事全体を思い浮かべていた。第3群以降は、必ず第1群で書いた固有名詞を1つは含めて答えるとルールを足すと、止まらずに進んだ。
もうひとつ、「なぜそう思うのですか」と自分に問い返すと、ほぼ必ず止まる。理由を聞かれると作文になるためである。止まったときは「なぜ」を捨てて、「最後にそれが起きたのはいつか」に置き換える。時期を思い出すのは事実の作業なので、答えが続く。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそれをどう扱うか
この作業の弱点は、材料がその日に思い出せる範囲に限られることである。第1群の8問はいずれも記憶に頼っていて、印象の強い出来事に寄る。印象の強さと、自分にとっての頻度は一致しない。頻度のほうを見たい場合は、1週間だけ記録を取る形のほうが向いている(その手順は自己理解を深める方法。書いて分かる形式のやり方にある)。
もう1つは、作った1文を後で見返す機会がないことだ。紙に書いた1文は、翌週には視界から消える。本来は数か月に1度だけ、そのときの材料で作り直すのが合っているが、そのために自分でリマインダーを置き続けるのは負荷が高い。
LifeOSは、この「材料を溜める」と「作り直す」を週1回の対話に寄せている。週1回の振り返りで答えた内容が蓄積され、繰り返し出てくる言い回しが候補としてまとまっていくので、30問を最初から自分で回さなくても更新された記述が手元に残る。とはいえ、出てくるのは候補であり、合っているかを決めるのは書いた本人である。紙とこのリストだけでも同じ作業はできるので、置き場所を1つに寄せたい場合の選択肢としてLifeOSを3分だけ試してみてほしい。
価値観という言葉のほうから入りたい場合は、自分の価値観の見つけ方。1人でできる手順の全体像が全体像にあたる。
FAQ
自己理解の質問は何問くらい答えるのが適切ですか?
このリストでは8問を推奨している。全問答えると所要が2時間を超え、後半の答えが雑になりやすいためである。問数を増やすより、各群から確実に2問ずつ選び、第3群・第4群まで到達するほうが、最後の1文が書ける状態になりやすい。
答えが浮かばない質問は飛ばしてよいですか?
飛ばしてよい。浮かばないのは材料が手元にないという合図で、無理に埋めると作文になる。気分が重くなった時点で中断してよい。 なお、このリストは体調や安全にかかわる問題を扱う手順ではない。そうした内容が頭に浮かぶ場合は、質問リストで扱うのではなく、話せる相手や専門の窓口に相談するほうが向いている。
性格診断の結果を先に見てから答えてもよいですか?
順番としては、先に答えてから見るほうを勧める。診断の結果を先に見ると、それに当てはまる記憶を探す形になりやすいためである。診断結果は自分を説明する枠組みの1つであって、唯一の枠組みではない。第4群の27番(自分の説明と人からの評価の食い違い)と並べて眺めると、差分のほうが材料になる。
