マインドマップを使う自己分析とは、紙の中心に言葉を1つ置き、そこから枝を伸ばして、関連する言葉を3層目までたどる作業である。 文章で書く自己分析との違いは、文を完成させないところにある。主語と述語をそろえる手間がないため、思いついた順に単語だけを置いていける。
この記事で扱うのは、A3の紙1枚を30分で3層目まで埋める手順である。ツールの使い方ではなく、枝が止まったときに何を書くかを中心に説明する。
「自己分析をしよう」と紙を開いて、15分後に3語しか書けていない
異動の希望を出す締切が2週間後に迫っている。何を書くか決めるために、休日の午前に紙とペンを用意する。中心に「自分」と書く。そこから1本目の枝を伸ばそうとして、手が止まる。
書けたのは「仕事」「家族」「お金」の3語。どれも間違いではないが、そこから先が出てこない。15分たって、紙の8割が白いまま残っている。結局その日は閉じて、翌週また同じ3語を書く。
この止まり方は、考える材料が足りないから起きているとは限らない。中心に置いた言葉が広すぎるために、1層目で大きな分類(仕事・家族・お金)が出て、その分類から先に進めなくなっている場合がある。分類はいくらでも思いつく一方で、分類の下には具体が入らない。
枝が伸びないのは、記憶力ではなく中心語と層の設計の問題
マインドマップは、1つの言葉から複数の連想を取り出す形式である。したがって、中心に置く言葉が抽象的だと、出てくる連想も抽象的になる。「自分」の連想は「仕事」であり、「仕事」の連想は「やりがい」になる。抽象から抽象へ進む限り、何層たどっても具体には届かない。
逆に、中心を出来事にすると最初から具体が出る。「先月いちばん時間を使ったこと」を中心に置けば、1層目に出るのは分類ではなく実際の作業名である。作業名からは、関わった人、かかった時間、やり直した回数といった具体が続く。
つまり自己分析でマインドマップが止まるかどうかは、意志や記憶力ではなく、中心語をどの高さに置いたかで大きく変わる。価値観を言葉にする全体の流れは自分の価値観の見つけ方にあり、この記事はその手前で材料を集める1手段を扱う。
手順: A3の紙1枚を30分で3層目まで埋める
用意するもの(3分)
- A3の紙を1枚。A4でも進められるが、3層目の語数が20を超えると端に寄って読みにくくなる。A3がなければA4を横向きにして2枚つなげる形でもよい
- ペンは1本。色分けは最初はしない。色を選ぶ判断が入ると、書く速度が落ちる
- タイマーを25分に設定する。時間を区切らないと、1層目を整える作業に時間が流れやすい
デジタルのツールでも手順は同じである。ただし最初の1枚は手書きのほうが、枝を描く位置を考えずに済むため速い。
1. 中心に「出来事」を1つ置く(2分)
中心に書くのは、「自分」「キャリア」「人生」ではなく、直近3か月の出来事にする。選び方は次のどれかでよい。
- 先月いちばん時間を使った仕事を1つ
- 最近いちばん疲れた週の、疲れた理由を1つ
- 自分でやってよかったと思った作業を1つ
迷ったら「先月いちばん時間を使ったこと」を選ぶ。満足か不満かに関係なく、時間が入っている出来事には具体が多く残っている。
2. 1層目を5〜7本、名詞だけで出す(5分)
中心から枝を5〜7本伸ばし、名詞だけを書く。「大変だった」「よかった」は書かない。評価語を1層目に入れると、2層目がその評価の理由だけになり、枝が1方向に寄る。
たとえば中心が「新しい請求書フォーマットへの移行」なら、1層目は「経理部」「移行の説明会」「旧データの確認」「3月の締め」「問い合わせ対応」のような語になる。
5本出ないときは、関わった人・使った道具・かかった時期の3方向から数えると届きやすい。
3. 2層目に「数字か固有名」を必ず1つ入れる(8分)
1層目の各枝から、2層目を2〜4語ずつ出す。ここで条件を1つ置く。各枝の2層目のうち少なくとも1語は、数字または固有名にする。
- 「移行の説明会」→「2回」「45分」「営業部だけ欠席」
- 「旧データの確認」→「1,200件」「2週間」「表記ゆれ」
この条件を置くと、感想の枝が自然に減る。数字は正確でなくてよく、「だいたい3回」で足りる。後で使うのは数字の正しさではなく、数字が入ることで出来事が1つに特定されることである。
4. 3層目で「自分が決めたこと」だけを書く(7分)
3層目は、2層目の語を見ながら自分が判断した場面を書く。「表記ゆれ」→「全部を直さず、金額欄だけ直すと決めた」。「営業部だけ欠席」→「資料を送るだけにして、再説明はしないと決めた」。
3層目に判断を置くのが、この手順の中心である。自己分析で後から使えるのは、起きたことよりも何を選び、何を切ったかのほうだからである。判断が思い出せない枝は空欄のままでよい。
5. 3層目だけを読み返して、3語に印をつける(5分)
最後に、1層目と2層目は見ずに、3層目の語だけを順に読む。読んでいて引っかかった語に3つだけ印をつける。印の基準は「もう一度同じ判断をするか」で、迷った語にも印をつけてよい。
印をつけた3語を紙の端に書き写す。これがこの30分の出力である。文章にまとめる必要はない。
実際にやると、ここでつまずく
いちばん多いのは、2層目で手が止まり、1層目の言葉を書き直し始めることである。1層目を整えると紙は綺麗になるが、材料は増えない。止まったら1層目には戻らず、別の枝の2層目へ移ったほうが進む。
次に多いのが、3層目に感想が入ることである。「大変だった」と書いてしまったら、消さずに横に「→そのとき何を選んだか」と書き足す。消す作業が入ると、手が止まる回数が増える。
もう1つは、30分で紙が埋まらないことである。3層目が5語しか出ない日もある。その場合は枝の数を増やそうとせず、出た5語で手順5まで進めてよい。印のついた3語が出れば、その回の目的は満たされている。
4〜5枚書いたあとに起きるのは別の種類の詰まりで、毎回同じ出来事を中心に置いてしまうことである。中心語を選ぶとき、印象の強い出来事が先に浮かぶため、3回目も4回目も同じ案件が中心になる。これを避けるには、紙の裏に中心語の日付を書いておき、前回と同じ語は選ばないようにする。
この手順の続けにくい点と、LifeOSがそこをどう扱うか
続けにくいのは、書いた紙が増えても、紙どうしがつながらないところである。1枚ごとには3語が残るが、3枚目を書くときに1枚目の3語は手元にない。結果として、毎回ゼロから中心語を選ぶことになる。
もう1つは、30分という単位である。平日の夜に紙を広げてタイマーを置くのは、机の上が片づいている日に限られやすい。2週間空くと、前回の紙がどこにあるか分からなくなる。
LifeOSは、週1回の振り返りを前提にしていて、前の週に出た言葉を踏まえた問いが次の週に出る形になっている。紙でいえば「前回の3語」が次の回の入口として渡される部分がここに当たるため、毎回ゼロから中心語を選ぶ必要がない。手書きのマインドマップの代わりになるものではなく、1枚ずつで途切れる部分を週単位でつなぐ位置にある。
紙1枚を30分かけるのが重い場合は、週1回ぶんの短い問いから試す形もある。LifeOSを3分だけ試すと、前の週の言葉がどう使われるかは見える。
文章で書くほうが合う場合は社会人の自己分析のやり方、過去の出来事を時系列で並べたい場合は過去の経験の書き出し方に、それぞれの手順がある。
よくある質問
マインドマップと普通の自己分析シートは何が違いますか
書く順番の自由度が違う。シートは項目が決まっているため、埋められない欄で止まりやすい。マインドマップは出た語から広げるので、順番を決めずに始められる。一方で、出力が単語の集まりになるため、文章でまとめたい場合は書き写す工程が別に必要になる。両方を使い、材料集めにマインドマップ、整理にシートを使う進め方もある。
デジタルのマインドマップツールでもできますか
同じ手順で進められる。3層目まで広げると画面に収まらないことがあるため、折りたたみ機能があるツールのほうが読み返しやすい。ただし最初の1〜2枚は、枝の配置を考えずに書ける手書きのほうが速く終わることが多い。
1枚書いたあと、結果をどう使えばいいですか
印をつけた3語を、別の紙かメモに日付つきで残す。1枚ごとの結論を出す必要はなく、3〜4枚ぶんの3語が並んだときに、同じ種類の判断が繰り返されているかを見る。1枚だけで傾向を決めようとすると、その日の気分に寄った読み方になりやすい。
